日帰り型森林セラピーがもたらす生理的・心理的リラックス効果―座観時における検討

[はじめに] 近年, Evidence-based medicine (EBM)に基づいた科学的データ蓄積の重要性が認識されつつある. 森林セラピー分野においても, 今まで経験的に知られてきた自然環境が人にもたらすリラックス効果に関して, 生理指標を用いた研究が進められている. 我々は, 森林環境のもたらす生理的効果に着目し, 2004年より日本全国の森林において実験を実施してきた. 実験は1ヶ所につき20代の男子大学生12名を対象とし, 森林部ならびに都市部での滞在時間, 測定時刻, 食事などをコントロールして行った. 既往研究において, 森林環境への滞在は都市環境に比べ, コルチゾール濃度...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 69; no. 2; pp. 104 - 110
Main Authors 宮崎, 良文, 宋, チョロン, 池井, 晴美, 香川, 隆英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2014
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.69.104

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Summary:[はじめに] 近年, Evidence-based medicine (EBM)に基づいた科学的データ蓄積の重要性が認識されつつある. 森林セラピー分野においても, 今まで経験的に知られてきた自然環境が人にもたらすリラックス効果に関して, 生理指標を用いた研究が進められている. 我々は, 森林環境のもたらす生理的効果に着目し, 2004年より日本全国の森林において実験を実施してきた. 実験は1ヶ所につき20代の男子大学生12名を対象とし, 森林部ならびに都市部での滞在時間, 測定時刻, 食事などをコントロールして行った. 既往研究において, 森林環境への滞在は都市環境に比べ, コルチゾール濃度の低下, 血圧・脈拍数の低下, 交感神経活動の抑制, ならびに副交感神経活動の昂進を示すこと等を報告してきた. 心理的効果に関しても, 森林部においては, 都市部と比較して, 主観的快適感, 鎮静感, 自然感ならびにリフレッシュ感が高く, さらに活気のような正の気分が増加し, 緊張や疲労など負の気分は低下することを明らかにしてきている.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.69.104