小腸-結腸型腸重積症を呈した小腸原発リンパ管腫の1例

症例は11歳女児,腸炎の先行感染を認め,激しい腹痛を主訴に受診となった.腹部超音波検査で下腹部正中にtarget sign,造影CTを撮像すると小腸-結腸型の腸重積を認め,腸重積症の診断となった.腹腔鏡下で手術を行ったが,整復が困難であったため開腹移行し,回腸内に隆起性の腫瘤性病変を認めたため小腸切除を行った.術後経過は良好であり,術後9日目に退院となった.最終病理結果では小腸リンパ管腫の診断となった.腸重積症の好発年齢は6か月から3歳未満であり,好発年齢外の年齢発症の多くはMeckel憩室,ポリープ,腫瘍性病変などの器質的疾患が起点となり腸重積が起こると言われており,リンパ管腫を原因とする報...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 181 - 185
Main Authors 田尻, 達郎, 川久保, 尚徳, 有留, 法史, 玉城, 昭彦, 松浦, 俊治, 孝橋, 賢一, 小田, 義直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.04.2024
日本小児外科学会
Subjects
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.60.2_181

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Summary:症例は11歳女児,腸炎の先行感染を認め,激しい腹痛を主訴に受診となった.腹部超音波検査で下腹部正中にtarget sign,造影CTを撮像すると小腸-結腸型の腸重積を認め,腸重積症の診断となった.腹腔鏡下で手術を行ったが,整復が困難であったため開腹移行し,回腸内に隆起性の腫瘤性病変を認めたため小腸切除を行った.術後経過は良好であり,術後9日目に退院となった.最終病理結果では小腸リンパ管腫の診断となった.腸重積症の好発年齢は6か月から3歳未満であり,好発年齢外の年齢発症の多くはMeckel憩室,ポリープ,腫瘍性病変などの器質的疾患が起点となり腸重積が起こると言われており,リンパ管腫を原因とする報告は小児においては極めて少ない.今回小腸-結腸型腸重積症により発見された小腸内腔発生のリンパ管腫の症例を経験したため,過去の症例を踏まえて報告する.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.60.2_181