左側胸水貯留を契機に発見され,多彩な胸部陰影を呈した宮崎肺吸虫症の一例

症例は36歳, 女性 (タイ人, 10代の時に結婚のために来日), 主訴は左胸痛, 現病歴として2010年5月頃より時々左胸痛が出現した. 7月中旬に近医を受診して, 左胸水貯留, 血中好酸球の増多を認めたため, 精査加療目的に当院当科に紹介入院した. WBC 7400/μl, 好酸球1732/μl, IgE 6984 IU/mlと上昇を認め, 胸部CTにて両側肺底部に周囲にスリガラス影を伴う結節影と左胸水貯留を認めた. サワガニの生食歴があり, 血清学的検査にて宮崎肺吸虫と診断した. プラジカンテル投与開始前の, 胸部CTでは, 左下葉の結節影は縮小し右下葉に空洞を伴う新たな結節性病変を認め...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 2; pp. 179 - 185
Main Authors 砂長, 則明, 佐藤, 哲郎, 鶴巻, 寛朗, 今井, 久雄, 岩崎, 靖樹, 石塚, 全, 柳澤, 邦雄, 大井, 晋介, 解良, 恭一, 久枝, 一, 古賀, 康彦, 土橋, 邦生, 長島, 多聞, 森, 昌朋, 小野, 昭浩, 堀口, 昇男, 久田, 剛志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2011
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.61.179

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Summary:症例は36歳, 女性 (タイ人, 10代の時に結婚のために来日), 主訴は左胸痛, 現病歴として2010年5月頃より時々左胸痛が出現した. 7月中旬に近医を受診して, 左胸水貯留, 血中好酸球の増多を認めたため, 精査加療目的に当院当科に紹介入院した. WBC 7400/μl, 好酸球1732/μl, IgE 6984 IU/mlと上昇を認め, 胸部CTにて両側肺底部に周囲にスリガラス影を伴う結節影と左胸水貯留を認めた. サワガニの生食歴があり, 血清学的検査にて宮崎肺吸虫と診断した. プラジカンテル投与開始前の, 胸部CTでは, 左下葉の結節影は縮小し右下葉に空洞を伴う新たな結節性病変を認めた. 治療開始後より左胸痛の改善とともに, 胸部CT上の左右の結節影の改善を認め, 血中好酸球数の改善を認めた. 海外渡航, 国際交流による食生活の多様化から肺吸虫症は増加しており, 好酸球増多を伴う肺病変の鑑別として肺吸虫の鑑別が重要であると示唆された. 今回, 左側胸水貯留を契機に発見され, 多彩な胸部陰影を呈した宮崎肺吸虫症の一例を経験したので, 文献的考察を加えて報告した.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.61.179