暑熱環境の子牛に着衣させる牛用冷却ジャケットの効果

子牛の暑熱ストレスを軽減するため,牛体を直接冷却することを目的として,牛用冷却ジャケットを作製し,その効果を調査した.調査1:暑熱環境下で飼育されていた2 週齢の黒毛和種子牛7 頭を供試し,着衣前,着衣30 分,1,2,3 および5 時間後に,体温,心拍数および呼吸数を測定しその推移を調査した.体温は,着衣前(39.5 ± 0.3℃)に比べ着衣30 分後(39.2 ± 0.3℃)で有意に低下し,着衣5 時間後(39.2 ± 0.1℃)まで有意な低値で推移した.心拍数および呼吸数も同様に着衣5 時間後まで有意な低値で推移した.調査2:暑熱環境下で飼育されていた2 週齢の黒毛和種子牛10 頭(着衣...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in産業動物臨床医学雑誌 Vol. 11; no. 1; pp. 5 - 11
Main Authors 高橋, 史昭, 松田, 敬一, 森川, 潤一, 前田, 洋佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会 30.04.2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1884-684X
2187-2805
DOI10.4190/jjlac.11.5

Cover

More Information
Summary:子牛の暑熱ストレスを軽減するため,牛体を直接冷却することを目的として,牛用冷却ジャケットを作製し,その効果を調査した.調査1:暑熱環境下で飼育されていた2 週齢の黒毛和種子牛7 頭を供試し,着衣前,着衣30 分,1,2,3 および5 時間後に,体温,心拍数および呼吸数を測定しその推移を調査した.体温は,着衣前(39.5 ± 0.3℃)に比べ着衣30 分後(39.2 ± 0.3℃)で有意に低下し,着衣5 時間後(39.2 ± 0.1℃)まで有意な低値で推移した.心拍数および呼吸数も同様に着衣5 時間後まで有意な低値で推移した.調査2:暑熱環境下で飼育されていた2 週齢の黒毛和種子牛10 頭(着衣群5 頭,対照群5 頭)を供試し,着衣前および着衣1 時間後に採血および体温,心拍数,呼吸数の測定を行った.体温,心拍数および呼吸数は,着衣群の1 時間後が,着衣群の着衣前,対照群の着衣前および1 時間後に比べ有意に低い値を示した.血液検査では,コルチゾール濃度において着衣群の1 時間後が,着衣群の着衣前,対照群の着衣前および1 時間後に比べ有意に低い値を示した.結果より,牛用冷却ジャケットは体温を低下させ,その効果は5 時間程度継続すると考えられた.また,着衣群でコルチゾール濃度の低下が認められたことから,牛用冷却ジャケットは,暑熱環境下でのストレス軽減に効果的と考えられた.
ISSN:1884-684X
2187-2805
DOI:10.4190/jjlac.11.5