肝疾患とキマーゼ

ヒト循環血中でのアンジオテンシンI(AI)からアンジオテンシンII(AII)への変換は, その大部分がアンジオテンシン変換酵素(ACE)に依存している. ところが, ACEによらないA II産生経路があり, それにセリンプロテアーゼが関与することが証明されている1. セリンプロテアーゼの一つであるキマーゼは, 主に肥満細胞の分泌顆粒に存在して非ACE経路のAII産生に働いている2, 3. 近年, 肥満細胞と線維芽細胞との関連が注目され, キマーゼを分泌する肥満細胞が線維芽細胞のもとに間質結合織内で分化し, 心筋, 腎などにおける線維化に関与していることが明らかになった4-7. 一方, AIIの...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 4; pp. 168 - 174
Main Authors 里村, 克章, 大本, 安一, 勝田, 悌実, 清水, 秀治, 古明地, 弘和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2005
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.1.168

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Summary:ヒト循環血中でのアンジオテンシンI(AI)からアンジオテンシンII(AII)への変換は, その大部分がアンジオテンシン変換酵素(ACE)に依存している. ところが, ACEによらないA II産生経路があり, それにセリンプロテアーゼが関与することが証明されている1. セリンプロテアーゼの一つであるキマーゼは, 主に肥満細胞の分泌顆粒に存在して非ACE経路のAII産生に働いている2, 3. 近年, 肥満細胞と線維芽細胞との関連が注目され, キマーゼを分泌する肥満細胞が線維芽細胞のもとに間質結合織内で分化し, 心筋, 腎などにおける線維化に関与していることが明らかになった4-7. 一方, AIIの働きの一つに各種臓器における細胞増殖, 細胞外基質産生を促進する作用があることが明らかにされている8, 9. そこでわれわれは, 肥満細胞の特異的な酵素であるキマーゼの測定方法を確立しキマーゼが肝線維形成に関与しているかどうかを調べるため, 血清ならびに肝組織中の活性測定を試みた.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.1.168