小児穿通性胸部外傷に対して胸腔鏡補助下手術が有効であった1例

症例は8歳男児.自転車走行中に転倒し,ハンドルのブレーキレバーが右前胸部に刺さり受傷した.ドクターヘリ要請となり,創部より胸腔内へドレーンが留置され,当院へ搬送された.バイタルサインは安定しており,体表観察で右鎖骨中線上第5肋間に2 cmほどの刺創を認め,同部位のドレーンから少量の血性排液を認めた.CT検査より,外傷性血気胸,右下葉肺挫傷Ib(rLL)型と診断し,同日,胸腔鏡補助下肺縫縮術,胸腔ドレナージ術を施行した.術後経過は良好であり,術後8日目に退院した.胸部外傷に対する胸腔鏡手術は,胸腔内の観察に優れ低侵襲な手術が可能であり,加えて早期に日常復帰が可能なことから,成人例では有用と考えら...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 58; no. 6; pp. 942 - 945
Main Authors 辻浦, 誠浩, 嶌村, 麻生, 家城, 英治, 内田, 恵一, 伊藤, 秀樹, 水越, 幸輔, 鈴木, 仁之, 尾嶋, 英紀, 毛利, 靖彦, 東, 浩輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2022
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.58.6_942

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Summary:症例は8歳男児.自転車走行中に転倒し,ハンドルのブレーキレバーが右前胸部に刺さり受傷した.ドクターヘリ要請となり,創部より胸腔内へドレーンが留置され,当院へ搬送された.バイタルサインは安定しており,体表観察で右鎖骨中線上第5肋間に2 cmほどの刺創を認め,同部位のドレーンから少量の血性排液を認めた.CT検査より,外傷性血気胸,右下葉肺挫傷Ib(rLL)型と診断し,同日,胸腔鏡補助下肺縫縮術,胸腔ドレナージ術を施行した.術後経過は良好であり,術後8日目に退院した.胸部外傷に対する胸腔鏡手術は,胸腔内の観察に優れ低侵襲な手術が可能であり,加えて早期に日常復帰が可能なことから,成人例では有用と考えられているが,小児例の報告は少なく適応についても明らかではない.血行動態が比較的安定した症例で,穿通性外傷や持続性血気胸,横隔膜損傷が疑われる場合は胸腔鏡補助下手術が可能であり,本症例はその良い適応と考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.58.6_942