カドミウム曝露によるリン代謝異常~FGF23産生亢進機序の検討
「はじめに」 カドミウムおよびその化合物は強毒性を有し生態系で生物濃縮を引き起こす環境汚染物質であり, イタイイタイ病の原因物質である. 本症は近位尿細管障害(Fanconi Syndrome)と骨粗鬆症を伴う骨軟化症(osteomalacia)を特徴とするが, その進行は緩慢で進行度を判定する基準も乏しく, その明確な診断は困難であった. 我々はカドミウム曝露による近位尿細管障害並びに本症に起因した骨障害などの健康障害を個人や集団レベルで早期かつ特異的に把握する新たなバイオマーカーとして, リン利尿因子であるFibroblast growth factor(FGF)23に着目し検討を進めてき...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 67; no. 4; pp. 464 - 471 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2012
日本衛生学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.67.464 |
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Summary: | 「はじめに」 カドミウムおよびその化合物は強毒性を有し生態系で生物濃縮を引き起こす環境汚染物質であり, イタイイタイ病の原因物質である. 本症は近位尿細管障害(Fanconi Syndrome)と骨粗鬆症を伴う骨軟化症(osteomalacia)を特徴とするが, その進行は緩慢で進行度を判定する基準も乏しく, その明確な診断は困難であった. 我々はカドミウム曝露による近位尿細管障害並びに本症に起因した骨障害などの健康障害を個人や集団レベルで早期かつ特異的に把握する新たなバイオマーカーとして, リン利尿因子であるFibroblast growth factor(FGF)23に着目し検討を進めてきた. 「FGF23とは」 FGF23はFGF15に対する相同性検索より同定された液性因子であり, FGF19やFGF21とともにFGF19サブファミリーに属する新規FGFタンパクである. FGF23は骨, とりわけ骨細胞(osteocyte)に発現するものと考えられている(1). |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.67.464 |