低周波音による心理的影響の評価に関する現状と課題
「はじめに」 近年, 地球温暖化対策としての二酸化炭素排出量抑制, また化石燃料資源以外のエネルギー源の確保などの観点から, クリーンで再生可能なエネルギー源の一つとして風力発電への期待が高まっている. 日本でもその導入は進んでおり, 2011年度末での国内における風力発電施設の累積台数および累積容量(ともに推定)は, 1,840台, 約2.5GWとなっており(1), その施設数・発電容量は, 今後もさらに増加すると見込まれる. 施設の導入が進む一方, 近隣の住民が, 風力発電施設から発生する低周波音による健康被害(アノイアンス, 圧迫感, 耳の痛み, 頭痛, 吐き気, 不眠など)を訴えるケー...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 68; no. 2; pp. 88 - 91 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2013
日本衛生学会 |
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Summary: | 「はじめに」 近年, 地球温暖化対策としての二酸化炭素排出量抑制, また化石燃料資源以外のエネルギー源の確保などの観点から, クリーンで再生可能なエネルギー源の一つとして風力発電への期待が高まっている. 日本でもその導入は進んでおり, 2011年度末での国内における風力発電施設の累積台数および累積容量(ともに推定)は, 1,840台, 約2.5GWとなっており(1), その施設数・発電容量は, 今後もさらに増加すると見込まれる. 施設の導入が進む一方, 近隣の住民が, 風力発電施設から発生する低周波音による健康被害(アノイアンス, 圧迫感, 耳の痛み, 頭痛, 吐き気, 不眠など)を訴えるケースがあり, マスコミ等で取り上げられる機会も増えている. 2010年度に環境省は, 発電容量が20kW以上の風力発電施設を対象として, 騒音・低周波音への苦情に関するアンケート調査を実施した(2). その結果, 回答のあった389施設中の64施設(うち39施設は解決済み), 発電容量が10,000kW以上の大規模施設に限れば78施設中の33施設(うち18施設は解決済み)で騒音・低周波音に対する苦情が出ていた. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.68.88 |