ヒト角膜実質細胞による初期感染防御機構

ヒト角膜実質細胞の5-7%は骨髄由来で, 実質浅層に常在する. 骨髄由来実質細胞にはToll-Like受容体4 (TLR4) が発現しており, 上皮層を破壊し侵入してきた微生物に対する初期感染防御 (innate immunity) のfirst stepとして働く. 一方, 神経提由来実質細胞は角膜筋原線維芽細胞へ形質転換する事でTLR3・9を発現する. そして微生物刺激に対しIL-6, IL-8, GRO, ENA-78, RANTESなどのケモカイン産生や, 貧食能の亢進を示し, 初期感染防御のsecond stepとして働く. また, 骨髄由来実質細胞は角膜上皮細胞や神経提由来実質細胞...

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Published in順天堂医学 Vol. 54; no. 3; pp. 294 - 298
Main Author 海老原, 伸行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2008
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.54.294

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Summary:ヒト角膜実質細胞の5-7%は骨髄由来で, 実質浅層に常在する. 骨髄由来実質細胞にはToll-Like受容体4 (TLR4) が発現しており, 上皮層を破壊し侵入してきた微生物に対する初期感染防御 (innate immunity) のfirst stepとして働く. 一方, 神経提由来実質細胞は角膜筋原線維芽細胞へ形質転換する事でTLR3・9を発現する. そして微生物刺激に対しIL-6, IL-8, GRO, ENA-78, RANTESなどのケモカイン産生や, 貧食能の亢進を示し, 初期感染防御のsecond stepとして働く. また, 骨髄由来実質細胞は角膜上皮細胞や神経提由来実質細胞の産生するMCP-1によって骨髄より角膜局所へ遊走し定着する. ヒト角膜実質細胞は角膜初期感染防御機構において重要な役割を演じている.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.54.294