消化器癌治療患者における静脈血栓症病態

悪性腫瘍患者には静脈血栓塞栓症(以下VTE)を合併しやすく,とくに消化器癌での合併率は高い。さらに消化器癌では遠隔転移があっても姑息手術が必要になることが多い。当院で経験した消化器癌患者における静脈血栓塞栓症の現況を報告する。2009年1月から2018年12月に当院で消化器癌にVTEを合併した患者は20例であった。癌種は胃癌9例,大腸癌6例,胆道癌3例,膵癌2例であった。20例中15例で遠隔転移を伴っていた。VTEが直接死亡原因となったものは無かったが,生存期間中央値は9か月であった。すでに遠隔転移を伴う進行癌が多かったにもかかわらず20例中16例で消化器外科手術を要していた。悪性腫瘍に伴うV...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 70; no. 5; pp. 479 - 484
Main Authors 久我, 貴之, 重田, 匡利, 矢野, 由香, 河内, 隆将
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.01.2022
日本農村医学会
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.70.479

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Summary:悪性腫瘍患者には静脈血栓塞栓症(以下VTE)を合併しやすく,とくに消化器癌での合併率は高い。さらに消化器癌では遠隔転移があっても姑息手術が必要になることが多い。当院で経験した消化器癌患者における静脈血栓塞栓症の現況を報告する。2009年1月から2018年12月に当院で消化器癌にVTEを合併した患者は20例であった。癌種は胃癌9例,大腸癌6例,胆道癌3例,膵癌2例であった。20例中15例で遠隔転移を伴っていた。VTEが直接死亡原因となったものは無かったが,生存期間中央値は9か月であった。すでに遠隔転移を伴う進行癌が多かったにもかかわらず20例中16例で消化器外科手術を要していた。悪性腫瘍に伴うVTEは消化器外科医も診断と治療に習熟しておく必要がある。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.70.479