職員と組織が同じ目標を共有する職員研修が組織文化の浸透に及ぼす効果

この研究の目的は,病院組織と職員との一体感に関する現在の問題を組織アイデンティティの視点から取り組む試みの意義を調査するために行なった。最初に職員が院長と直接話す機会を持つという研修計画を実施した。次に院長が職員に対して,当院の創立の背景及び歴史,当院の基本理念,当院のビジョンおよび地域における役割について話した。さらに我々は,2012年11月から2013年9 月まで職員(n=894)にアンケート調査(1~5段階のリッカート尺度を用いた7 つの質問)を実施した。回収率は80.3%であった。院長と職員の直接的な対話により,病院の歴史に関する職員の理解度,病院の基本理念に関する職員の共感度,病院の...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 1 - 8
Main Authors 三井, 千鶴, 浦田, 士郎, 大場, 光華, 三浦, 崇則, 大嶽, 典子, 豊嶋英明, 豊嶋英明, 橋, 彩香, 山田, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 31.05.2017
日本農村医学会
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.66.1

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Summary:この研究の目的は,病院組織と職員との一体感に関する現在の問題を組織アイデンティティの視点から取り組む試みの意義を調査するために行なった。最初に職員が院長と直接話す機会を持つという研修計画を実施した。次に院長が職員に対して,当院の創立の背景及び歴史,当院の基本理念,当院のビジョンおよび地域における役割について話した。さらに我々は,2012年11月から2013年9 月まで職員(n=894)にアンケート調査(1~5段階のリッカート尺度を用いた7 つの質問)を実施した。回収率は80.3%であった。院長と職員の直接的な対話により,病院の歴史に関する職員の理解度,病院の基本理念に関する職員の共感度,病院の方向性に関する職員の理解度および地域への役割に関する職員の理解度は対話前に比し有意に向上した。また,約9 割の職員が当院創立の背景を理解し,方向性(ビジョン)を理解し,基本理念に共感し,そして地域に対する当院の役割を理解したことを確認できた。因子分析により7 つの質問から2 つの因子(“組織アイデンティティ”と“組織と職員の一体感”)が抽出された。更に質問の回答内容を内部一貫法で検証した結果,質問紙調査票の質問内容は妥当であった(Cronbach のα係数=0.837,0.670)。結論として,院長と職員の直接的な対話の機会は,職員に対して組織文化あるいは組織アイデンティティを浸透する手段として極めて有用であったことが示された。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.66.1