緑茶の抗菌効果に及ぼす水の硬度の影響

「要約」さまざまな硬度の水道水および市販ミネラルウォーターで抽出した緑茶の抗菌効果を比較した. 緑茶培地での大腸菌コロニー形成数の, 水培地に対する比(コロニー形成率)は水の硬度が高くなるほど低下し, 硬水ほど緑茶の抗菌効果を高める傾向が見られた. 海外の硬水ミネラルウォーターを用いた場合, 緑茶の抗菌効果は水道水の数十倍であった. 水に含まれるミネラル元素のうち, CaとMgの濃度が高い水ほど抗菌効果は高く, Si濃度が高い水ほど低い傾向が主成分分析より示された. 緑茶に溶出する個々のカテキン類のうち, ECG濃度は水の硬度が高いほど高くなる傾向が見られたが, 硬度の高い水で緑茶の抗菌効果が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 7 - 12
Main Authors 河野, みずき, 糸満, 多佳子, 宮本, 真衣, 池, 晶子, 瀧上, 詩織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-8267
1882-5982
DOI10.5803/jsfm.34.7

Cover

More Information
Summary:「要約」さまざまな硬度の水道水および市販ミネラルウォーターで抽出した緑茶の抗菌効果を比較した. 緑茶培地での大腸菌コロニー形成数の, 水培地に対する比(コロニー形成率)は水の硬度が高くなるほど低下し, 硬水ほど緑茶の抗菌効果を高める傾向が見られた. 海外の硬水ミネラルウォーターを用いた場合, 緑茶の抗菌効果は水道水の数十倍であった. 水に含まれるミネラル元素のうち, CaとMgの濃度が高い水ほど抗菌効果は高く, Si濃度が高い水ほど低い傾向が主成分分析より示された. 緑茶に溶出する個々のカテキン類のうち, ECG濃度は水の硬度が高いほど高くなる傾向が見られたが, 硬度の高い水で緑茶の抗菌効果が強く表れたのは, CaやMgがカテキン類の重合体を形成し, 安定化させ緑茶の抗菌効果を長く続かせたことに起因する可能性も考えられた.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.34.7