アトピー性皮膚炎病因論における諸問題
「緒言」アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)が患者に与える病悩はきわめて大きい. アレルギー性鼻炎や気管支喘息などの免疫異常を併発し, 時に眼病変も続発する. 心身相関が大きく, 不眠, 引きこもり, 家庭崩壊などの社会問題も惹起する重大疾患である1, 2. WiseとSulzbergerによりADの概念が提唱されたのは1933年であるが3, 以来, 病因に関し様々な説が展開されてきた. 遺伝子解析が試みられてきたが, 責任遺伝子は解明されていない. 近年, ADにおける皮膚バリアー機能異常から, フィラグリン遺伝子異常が注目されたが4, 異常を認めない患者も多く,...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 83 - 87 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2011
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Summary: | 「緒言」アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)が患者に与える病悩はきわめて大きい. アレルギー性鼻炎や気管支喘息などの免疫異常を併発し, 時に眼病変も続発する. 心身相関が大きく, 不眠, 引きこもり, 家庭崩壊などの社会問題も惹起する重大疾患である1, 2. WiseとSulzbergerによりADの概念が提唱されたのは1933年であるが3, 以来, 病因に関し様々な説が展開されてきた. 遺伝子解析が試みられてきたが, 責任遺伝子は解明されていない. 近年, ADにおける皮膚バリアー機能異常から, フィラグリン遺伝子異常が注目されたが4, 異常を認めない患者も多く, 病因のごく一部が説明できたに過ぎない. 双生児研究(twin study)におけるAD発症の一致率(concordance rate)は0.77という報告もあるが研究によりバラツキがある5. この事実からも環境因子の重要性が想定される. |
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ISSN: | 1349-8975 1880-2877 |
DOI: | 10.1272/manms.7.83 |