精神疾患の診断・治療に対する聴覚言語処理・情動処理ニューロイメージングの応用

「I. はじめに」 幻覚や妄想のようなヒトの心の中の歪みの神経基盤を明らかにするため, 近年, 精神疾患に対して多くの脳機能画像研究が行われている. 脳機能画像研究は, 生体内の神経受容体活性や脳内トランスポーターの分布などを可視化することで生物学的神経基盤の解明を試みる分子イメージング研究に加えて, 感情認知や記憶の保持・言語処理・運動・社会認知時の脳機能を評価するようなヒトの認知機能や行動に関連する脳機能画像研究が存在する. 本稿では, 脳機能画像研究の中でも, ことばの理解や感情判断に関わる脳機能画像研究, とくに精神疾患に機能的MRI (functional magnetic reso...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 18; no. 1; pp. 72 - 85
Main Author 肥田, 道彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 20.02.2022
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Summary:「I. はじめに」 幻覚や妄想のようなヒトの心の中の歪みの神経基盤を明らかにするため, 近年, 精神疾患に対して多くの脳機能画像研究が行われている. 脳機能画像研究は, 生体内の神経受容体活性や脳内トランスポーターの分布などを可視化することで生物学的神経基盤の解明を試みる分子イメージング研究に加えて, 感情認知や記憶の保持・言語処理・運動・社会認知時の脳機能を評価するようなヒトの認知機能や行動に関連する脳機能画像研究が存在する. 本稿では, 脳機能画像研究の中でも, ことばの理解や感情判断に関わる脳機能画像研究, とくに精神疾患に機能的MRI (functional magnetic resonance imaging: fMRI)を用いた研究の話題を中心に記述する. 統合失調症の聴覚fMRI研究, 聴覚認知行動学研究, 遺伝学的・薬理学的fMRI研究, ニューロモジュレーションの効果に関するfMRI研究, うつ病の光トポグラフィー研究などについて, われわれの研究内容をできるだけ端的に紹介し, 各研究の今後の展望を含め考察する.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.18.72