手術の影響を考慮した介入が奏功した外傷後の膝関節屈曲制限難治例
膝関節屈曲制限の改善に苦慮した大腿骨骨幹部骨折術後症例を経験した。症例は20代女性。他院で大腿骨骨幹部骨折を含む多発外傷に対して,受傷翌日に順行性髄内釘固定術が施行され,受傷後75日にリハビリ目的で当院転院となった。紹介資料によると,大腿骨骨幹部骨折はAO分類C2であり,術後の単純X線画像では遠位側の髄内釘固定スクリューの1本が前方から後方へ挿入されていた。患者は受傷後90日に自宅退院となったが,膝関節に95°までの屈曲制限,膝前面に膝関節最終屈曲域での疼痛が残存していた。疼痛部位が上記スクリューの刺入部に一致することから,屈曲制限の原因は膝蓋骨上方支持組織の拘縮にあると判断,退院後の外来運動...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 623 - 627 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2021
日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0468-2513 1349-7421 |
DOI | 10.2185/jjrm.69.623 |
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Summary: | 膝関節屈曲制限の改善に苦慮した大腿骨骨幹部骨折術後症例を経験した。症例は20代女性。他院で大腿骨骨幹部骨折を含む多発外傷に対して,受傷翌日に順行性髄内釘固定術が施行され,受傷後75日にリハビリ目的で当院転院となった。紹介資料によると,大腿骨骨幹部骨折はAO分類C2であり,術後の単純X線画像では遠位側の髄内釘固定スクリューの1本が前方から後方へ挿入されていた。患者は受傷後90日に自宅退院となったが,膝関節に95°までの屈曲制限,膝前面に膝関節最終屈曲域での疼痛が残存していた。疼痛部位が上記スクリューの刺入部に一致することから,屈曲制限の原因は膝蓋骨上方支持組織の拘縮にあると判断,退院後の外来運動療法に膝蓋骨上方支持組織を対象としたアプローチを追加した。この結果,受傷140日目に膝関節の屈曲制限は150°と日常生活にほぼ支障ない程度に改善した。 |
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ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.69.623 |