横紋筋肉腫との鑑別を要した膀胱原発炎症性筋線維芽細胞腫瘍の1小児例
症例は12歳男児.陰茎根部の痛みを主訴に近医を受診した.超音波検査で膀胱左前壁に30 mm大の腫瘤を指摘され,当科紹介となった.腫瘍生検を施行し,横紋筋肉腫の診断となった.VAC療法を2クール施行したが,腫瘍が増大したため化学療法抵抗性と判断し,腫瘍を全摘出した.摘出検体は線維芽細胞が腫瘍性に増殖し,免疫染色ではALK(anaplastic lymphoma kinase)が陽性で,炎症性筋線維芽細胞腫瘍の最終診断となった.後治療は施行せず,術後14か月現在再発なく経過している.炎症性筋線維芽細胞腫瘍は,炎症細胞の浸潤を伴って筋線維芽細胞が腫瘍性に増殖する稀な疾患である.生検では炎症性病変や悪...
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Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 1; pp. 38 - 43 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
20.02.2021
日本小児外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0288-609X 2187-4247 |
DOI | 10.11164/jjsps.57.1_38 |
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Summary: | 症例は12歳男児.陰茎根部の痛みを主訴に近医を受診した.超音波検査で膀胱左前壁に30 mm大の腫瘤を指摘され,当科紹介となった.腫瘍生検を施行し,横紋筋肉腫の診断となった.VAC療法を2クール施行したが,腫瘍が増大したため化学療法抵抗性と判断し,腫瘍を全摘出した.摘出検体は線維芽細胞が腫瘍性に増殖し,免疫染色ではALK(anaplastic lymphoma kinase)が陽性で,炎症性筋線維芽細胞腫瘍の最終診断となった.後治療は施行せず,術後14か月現在再発なく経過している.炎症性筋線維芽細胞腫瘍は,炎症細胞の浸潤を伴って筋線維芽細胞が腫瘍性に増殖する稀な疾患である.生検では炎症性病変や悪性腫瘍との鑑別が困難な場合があり,慎重に病理組織所見を吟味する必要がある.治療の原則は腫瘍摘出で,全摘出により予後は良いとされるが,再発の報告もあり注意深いフォローが必要である. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.57.1_38 |