ハイリスク妊娠は正期産であっても児にとってハイリスクか
我々産婦人科医は厚生労働省の定めた病態を有する妊婦をハイリスク妊娠・分娩として管理している。これらは,しばしば重篤化し,出生した児がterminationの適応となり,早産でNICU入院となる症例も少なくない。しかしハイリスクな妊婦を正期産まで管理し得た場合,出生した児にとってもNICU入院のリスクになりうるかは定かではない。我々は正期産であってもハイリスク妊婦の出産が,NICU入院率を増加させるのかをハイリスク因子の項目ごとに検討した。またハイリスク項目の40歳以上の初産婦に注目し,NICU入院率を増加させる要因かを検討した。 2014年1月から2015年12月の期間に当院で妊娠37週以降...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 68; no. 1; pp. 1 - 7 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2019
日本農村医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0468-2513 1349-7421 |
DOI | 10.2185/jjrm.68.1 |
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Summary: | 我々産婦人科医は厚生労働省の定めた病態を有する妊婦をハイリスク妊娠・分娩として管理している。これらは,しばしば重篤化し,出生した児がterminationの適応となり,早産でNICU入院となる症例も少なくない。しかしハイリスクな妊婦を正期産まで管理し得た場合,出生した児にとってもNICU入院のリスクになりうるかは定かではない。我々は正期産であってもハイリスク妊婦の出産が,NICU入院率を増加させるのかをハイリスク因子の項目ごとに検討した。またハイリスク項目の40歳以上の初産婦に注目し,NICU入院率を増加させる要因かを検討した。 2014年1月から2015年12月の期間に当院で妊娠37週以降に分娩となった総出生児数2,275人を対象とした。NICU入院率はハイリスク妊婦High Risk(HR)群で16.28%,非ハイリスク妊婦Low Risk(LR)群で3.79%であり,HR群でNICU入院率が有意に高かった(P<0.0001)。また40歳以上の初産婦であるElderly Primipara(EP)群とコントロール群(C)のNICU入院率を検討した。NICUへの入院率はEP群41.86%,C群4.50%であり,EP群で有意に高かった(P<0.0001)。高年妊娠は妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群,常位胎盤早期剥離の合併率が高いと言われている。本検討でもEP群で有意に上記疾患の合併率が高かった。ハイリスク妊婦の分娩は,児の対応も含め慎重な管理が必要と言える。 |
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ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.68.1 |