アガロースゲル電気泳動法によるLDL相対移動度を利用したLDL粒子の質的評価

目的: Small-dense LDLは動脈硬化性疾患の重要な危険因子である. しかし, LDL粒子直径 (LDL size) 測定は技術的にいくつかの間題があり, 日常診療の検査として活用されていない. そこで, 操作が簡便なアガロースゲル電気泳動法によるLDL相対移動度 (LDL-relative movement, LDL-RM) を測定し, LDL sizeに代わるLDL粒子の質的変化を評価する方法としての有効性を検討した.対象: 対象は正常コントロール (NOR), 非糖尿病で高トリグリセリド血症 (NOR+HL), 糖尿病かつ正脂血症 (DM+NOR), 糖尿病かつ高トリグリセリド...

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Published in順天堂医学 Vol. 54; no. 1; pp. 61 - 66
Main Authors 池田, 信子, 日暮, 一美, 三宅, 紀子, 三宅, 一徳, 近藤, 成美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2008
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.54.61

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Summary:目的: Small-dense LDLは動脈硬化性疾患の重要な危険因子である. しかし, LDL粒子直径 (LDL size) 測定は技術的にいくつかの間題があり, 日常診療の検査として活用されていない. そこで, 操作が簡便なアガロースゲル電気泳動法によるLDL相対移動度 (LDL-relative movement, LDL-RM) を測定し, LDL sizeに代わるLDL粒子の質的変化を評価する方法としての有効性を検討した.対象: 対象は正常コントロール (NOR), 非糖尿病で高トリグリセリド血症 (NOR+HL), 糖尿病かつ正脂血症 (DM+NOR), 糖尿病かつ高トリグリセリド血症 (DM+HL) の4グループとした.方法: アガロースゲル電気泳動法によるLDL-RMとポリアクリルアミドグラジエントゲル電気泳動法によるLDL sizeを測定し, 測定結果を4グループで比較した.結果: LDL sizeはNOR+HLとDM+HLでそれぞれ有意に低値に分布していた (p<0.001). LDL-RMは各群間に統計的有意差があり (p<0.001) DM+HLで最も大きかった. LDL sizeとLDL-RMは各群で強い負の相関があった.結論: LDL-RMとLDL sizeとの相関は良好であり, LDL-RMの測定によってLDL size測定と同様にLDL粒子の質的変化を評価することが可能であることが示唆された. さらに, LDL-RMはLDLsizeと比較してLDL粒子の質的異常をより鋭敏に反映する可能性が示された.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.54.61