極低出生体重児における血清中KL-6値の測定意義 -慢性肺疾患と非慢性肺疾患の比較

新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome, RDS)を発症した極低出生体重児75例の血清中Krebs von den Lungen-6(KL-6)を出生時から生後3ヵ月まで1ヵ月毎に測定した.また,新生児慢性肺疾患(chronic lung disease, CLD)を発症したCLD群25例と発症しなかった非CLD群50例にわけて比較検討し,CLDにおける血清中KL-6測定の臨床的有用性について検討した. 出生時の血清中KL-6値は在胎週数と出生体重に影響されずほぼ一定で,基準範囲は55~160U/ml(中央値102)/105±53U/ml(平均値±1....

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Published in山口医学 Vol. 54; no. 1; pp. 31 - 37
Main Author 吉井, 英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2005
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.54.31

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Summary:新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome, RDS)を発症した極低出生体重児75例の血清中Krebs von den Lungen-6(KL-6)を出生時から生後3ヵ月まで1ヵ月毎に測定した.また,新生児慢性肺疾患(chronic lung disease, CLD)を発症したCLD群25例と発症しなかった非CLD群50例にわけて比較検討し,CLDにおける血清中KL-6測定の臨床的有用性について検討した. 出生時の血清中KL-6値は在胎週数と出生体重に影響されずほぼ一定で,基準範囲は55~160U/ml(中央値102)/105±53U/ml(平均値±1.96SD)だった.また出生時の血清中KL-6値はCLD群と非CLD群で有意差は認めなかったが,両群とも出生時から生後1ヵ月にかけては有意に上昇し(p<0.0001),生後1ヵ月時の血清中KL-6値はCLD群が220.2±15.7U/ml(平均値±SE)で非CLD群の147.6±6.1U/mlに対して有意に高値を示した(p<0.0001).ROC曲線から得られた生後1ヵ月のCLD発症診断のカットオフ値は178U/mlで感度76%,特異度82%であった. RDSを発症した極低出生体重児における生後1ヵ月での血清中KL-6値>178U/mlはCLD発症の客観的指標となり,診断の補助として有用であると考えられた.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.54.31