上肢の筋肥大を呈した成人発症calpainopathyの孤発男性例
症例は33歳男性.16歳時に健診で血清CK上昇を指摘され,25歳頃から緩徐進行性の下肢筋力低下が出現した.身体診察では翼状肩甲,腰椎前弯の増強,アキレス腱の拘縮,近位筋優位の四肢筋力低下を認め,Gowers徴候は陽性であった.筋肥大は上腕二頭筋や前腕屈筋群においてみられた.筋生検では筋線維の大小不同,再生・壊死線維を認め,calpain3発現が低下していた.遺伝子解析にてCAPN3遺伝子に既知の二つの遺伝子変異を認めたためcalpainopathy(肢帯型筋ジストロフィー limb girdle muscular dystrophy 2A; LGMD2A)と診断した.上肢の筋肥大は下肢に比べ注...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 59; no. 11; pp. 740 - 745 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2019
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001330 |
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Summary: | 症例は33歳男性.16歳時に健診で血清CK上昇を指摘され,25歳頃から緩徐進行性の下肢筋力低下が出現した.身体診察では翼状肩甲,腰椎前弯の増強,アキレス腱の拘縮,近位筋優位の四肢筋力低下を認め,Gowers徴候は陽性であった.筋肥大は上腕二頭筋や前腕屈筋群においてみられた.筋生検では筋線維の大小不同,再生・壊死線維を認め,calpain3発現が低下していた.遺伝子解析にてCAPN3遺伝子に既知の二つの遺伝子変異を認めたためcalpainopathy(肢帯型筋ジストロフィー limb girdle muscular dystrophy 2A; LGMD2A)と診断した.上肢の筋肥大は下肢に比べ注目されにくいが,それらを念頭に置いた診察が重要である. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001330 |