汎下垂体機能低下症と中枢性尿崩症を呈しIgG4関連下垂体炎が疑われた1例
78歳男性.食思不振,歩行障害が出現し開脚小刻み歩行を認めた.頭部MRIで造影効果を伴う下垂体柄から下垂体の腫大がみられた.PET-CTで下垂体と縦隔リンパ節にFDG集積を認めた.汎下垂体機能低下症があり血清IgG4は265 mg/dlと高値だった.縦隔リンパ節の病理診断ではIgG4陽性細胞浸潤はなかったが,臨床症状と画像所見からIgG4関連下垂体炎を疑った.ステロイド療法が著効した.中枢性尿崩症が顕在化したがデスモプレシン内服で軽快した.本疾患は多彩な臨床症状を呈し,multimorbidityを有する患者では不定愁訴や基礎疾患に関連した症状として対応される可能性があり注意を要する....
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Published in | 臨床神経学 Vol. 64; no. 6; pp. 398 - 402 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2024
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001934 |
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Summary: | 78歳男性.食思不振,歩行障害が出現し開脚小刻み歩行を認めた.頭部MRIで造影効果を伴う下垂体柄から下垂体の腫大がみられた.PET-CTで下垂体と縦隔リンパ節にFDG集積を認めた.汎下垂体機能低下症があり血清IgG4は265 mg/dlと高値だった.縦隔リンパ節の病理診断ではIgG4陽性細胞浸潤はなかったが,臨床症状と画像所見からIgG4関連下垂体炎を疑った.ステロイド療法が著効した.中枢性尿崩症が顕在化したがデスモプレシン内服で軽快した.本疾患は多彩な臨床症状を呈し,multimorbidityを有する患者では不定愁訴や基礎疾患に関連した症状として対応される可能性があり注意を要する. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001934 |