発症1年後の抗横紋筋抗体を追跡し得た免疫チェックポイント阻害薬に関連した筋炎合併重症筋無力症の1例

症例は78歳男性.腎細胞癌術後肝転移,リンパ節転移に対し,ニボルマブとイピリムマブの投与を受けた後から,複視,眼瞼下垂,嚥下障害,四肢・頸部の筋力低下,易疲労性を自覚するようになった.著明な高creatine kinase(CK)血症を認め,頸部MRIで深背筋に炎症性変化を認めた.またエドロフォニウム試験が陽性であった.免疫チェックポイント阻害薬に関連する重症筋無力症や筋炎で検出される抗横紋筋抗体の抗titin抗体と抗Kv1.4抗体が陽性であった.ステロイド治療と単純血漿交換を行い,症状は軽減,CK値は正常化した.発症1年後の抗titin抗体,抗Kv1.4抗体は,いずれも抗体価は低下していたが...

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Published in臨床神経学 Vol. 61; no. 9; pp. 630 - 634
Main Authors 杉山, 幸生, 高橋, 大介, 渡邊, 彰弘, 小林, 潤也, 鈴木, 重明, 江左, 佳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2021
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001604

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Summary:症例は78歳男性.腎細胞癌術後肝転移,リンパ節転移に対し,ニボルマブとイピリムマブの投与を受けた後から,複視,眼瞼下垂,嚥下障害,四肢・頸部の筋力低下,易疲労性を自覚するようになった.著明な高creatine kinase(CK)血症を認め,頸部MRIで深背筋に炎症性変化を認めた.またエドロフォニウム試験が陽性であった.免疫チェックポイント阻害薬に関連する重症筋無力症や筋炎で検出される抗横紋筋抗体の抗titin抗体と抗Kv1.4抗体が陽性であった.ステロイド治療と単純血漿交換を行い,症状は軽減,CK値は正常化した.発症1年後の抗titin抗体,抗Kv1.4抗体は,いずれも抗体価は低下していたが依然として陽性であった.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001604