失タイプを来した皮質下梗塞の1例

58歳,男性,右利き.タイピングが上手くできず,言葉も思うように出なくなったことに気づいた.第3病日の入院時には失行や視知覚障害はなかったが,語列挙障害などの前頭葉機能障害や,近時記憶障害を認めた.またキーボード目視下に可能であったローマ字入力によるタイピングが,特に拗音や促音が混在する語で困難であった.書字障害は軽微であった.MRIでは左内包膝部から後脚に梗塞巣を認め,SPECTでは左前頭葉に集積低下を認めた.本例では視床-前頭葉間の投射性線維が皮質下梗塞により遮断された結果,ローマ字綴りの想起障害による失タイプを来したと考えられた....

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Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 64; no. 3; pp. 163 - 170
Main Authors 山本, 和佳奈, 稲富, 雄一郎, 松田, 実
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2024
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001904

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Summary:58歳,男性,右利き.タイピングが上手くできず,言葉も思うように出なくなったことに気づいた.第3病日の入院時には失行や視知覚障害はなかったが,語列挙障害などの前頭葉機能障害や,近時記憶障害を認めた.またキーボード目視下に可能であったローマ字入力によるタイピングが,特に拗音や促音が混在する語で困難であった.書字障害は軽微であった.MRIでは左内包膝部から後脚に梗塞巣を認め,SPECTでは左前頭葉に集積低下を認めた.本例では視床-前頭葉間の投射性線維が皮質下梗塞により遮断された結果,ローマ字綴りの想起障害による失タイプを来したと考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001904