複数の疾患特異的自己抗体を認め,横紋筋融解症を併発し,消化管穿孔により致死的な経過をとった結節性多発動脈炎の1剖検例

72歳男性.1か月間続く発熱と筋力低下,しびれを主訴に受診した.下肢優位の四肢筋力低下,筋把握痛,下肢遠位触覚低下,深部腱反射低下を認めた.血液検査上,白血球増多と炎症反応高値,抗ds-DNA抗体,抗Scl70抗体が陽性だったが,ANCAは陰性だった.末梢神経伝導検査にて多発性単神経炎が示唆された.ステロイドパルス,血漿交換を行ったが,消化管壊死・穿孔により死亡した.病理解剖を行い,横紋筋融解症を併発した結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa,以下PANと略記)と診断した.本例は自己抗体を認め,横紋筋融解症を併発した点が非典型的だった.PANは急速に死に至る場合があるため,...

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Published in臨床神経学 Vol. 63; no. 1; pp. 21 - 26
Main Authors 村上, 丈伸, 佐桑, 真悠子, 岸, 真文, 花島, 律子, 野口, 直哉, 桑本, 聡史, 田尻, 佑喜, 足立, 正, 竹内, 昌子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2023
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001782

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Summary:72歳男性.1か月間続く発熱と筋力低下,しびれを主訴に受診した.下肢優位の四肢筋力低下,筋把握痛,下肢遠位触覚低下,深部腱反射低下を認めた.血液検査上,白血球増多と炎症反応高値,抗ds-DNA抗体,抗Scl70抗体が陽性だったが,ANCAは陰性だった.末梢神経伝導検査にて多発性単神経炎が示唆された.ステロイドパルス,血漿交換を行ったが,消化管壊死・穿孔により死亡した.病理解剖を行い,横紋筋融解症を併発した結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa,以下PANと略記)と診断した.本例は自己抗体を認め,横紋筋融解症を併発した点が非典型的だった.PANは急速に死に至る場合があるため,速やかに免疫治療を行うべきである.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001782