A-7 浸潤性膵癌におけるMCM-7の発現(第13回杏林医学会総会)

背景 膵癌(浸潤性膵管癌)の手術後の長期成績は不良であり, 予後規定因子として病理型, 分化度, リンパ節転移などの他に種々の分子生物学的因子が検討されている. 今回, DNAの複製ライセンス因子であるMCM-7の発現を膵癌切除組織において検索し, 予後との関連を検討した. 方法 浸潤性膵管癌18切除例を対象に, 抗ヒト, マウスモノクローナル抗体(Santa, Cruz Biotechnology, Inc)を用いた免疫組織染色により, 膵癌組織および非癌部膵組織でのMCM-7の発現を検討した. またMCM-7発現と病理学的進行度, 術後生存期間との関連を調べた. 結果 非癌部膵組織では腺房...

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Published inJOURNAL OF THE KYORIN MEDICAL SOCIETY Vol. 36; no. 1; pp. 86 - 87
Main Authors 阿部, 展次, 藤岡, 保範, 跡見, 裕, 脱, 紅芳, 杉山, 政則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 2005
The Kyorin Medical Society
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ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.36.86_3

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Summary:背景 膵癌(浸潤性膵管癌)の手術後の長期成績は不良であり, 予後規定因子として病理型, 分化度, リンパ節転移などの他に種々の分子生物学的因子が検討されている. 今回, DNAの複製ライセンス因子であるMCM-7の発現を膵癌切除組織において検索し, 予後との関連を検討した. 方法 浸潤性膵管癌18切除例を対象に, 抗ヒト, マウスモノクローナル抗体(Santa, Cruz Biotechnology, Inc)を用いた免疫組織染色により, 膵癌組織および非癌部膵組織でのMCM-7の発現を検討した. またMCM-7発現と病理学的進行度, 術後生存期間との関連を調べた. 結果 非癌部膵組織では腺房細胞, 導管細胞ともMCM-7は発現していなかった. 膵癌組織では平均49%(標準誤差26%)の細胞でMCM-7の発現がみられた. MCM-7発現陽性細胞率とリンパ管浸潤, 静脈浸潤, リンパ節転移との間に有意の逆相関を認めた. さらに発現陽性率と生存期間との間に逆相関を認めた(R=-0.628, P<0.001). MCM-7発現陽性率は2年以上生存群(60%)と2年未満死亡群(30%)との間に有意差を認めた. 結論MCM-7は膵癌組織で発現がみられ, その高発現は予後不良の予測因子と考えられた.
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.36.86_3