脊髄損傷に対する血小板由来創傷治癒因子ならびに神経成長因子の効果

成熟ratの第12胸髄を完全横断し,死腔部に血小板由来創傷治癒因子(PDWHF)または神経成長因子(NGF)を含むコラーゲンゲルを充填して1ヵ月,2ヵ月または3ヵ月間飼育後,脊髄損傷部を組織病理学的に観察した.control群はコラーゲンゲルのみを充填した.その結果,脊髄断端部にcontrol群では小径の短い軸索束しか形成されなかった.NGF群は脊髄断端部に太い軸索束と神経腫形成を認め,多数の生存神経細胞が観察された.一方,PDWHF群は脊髄断端部での血管新生が著明であった.今回のin vivo脊髄損傷モデルにおける研究で,外因性NGFが神経細胞生存と軸索再成長誘導に働き,PDWHFによる血管...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 32; no. 3; pp. 173 - 183
Main Authors 平泉, 裕, 藤巻, 悦夫, 川原, 範夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 1995
日本リハビリテーション医学会
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Summary:成熟ratの第12胸髄を完全横断し,死腔部に血小板由来創傷治癒因子(PDWHF)または神経成長因子(NGF)を含むコラーゲンゲルを充填して1ヵ月,2ヵ月または3ヵ月間飼育後,脊髄損傷部を組織病理学的に観察した.control群はコラーゲンゲルのみを充填した.その結果,脊髄断端部にcontrol群では小径の短い軸索束しか形成されなかった.NGF群は脊髄断端部に太い軸索束と神経腫形成を認め,多数の生存神経細胞が観察された.一方,PDWHF群は脊髄断端部での血管新生が著明であった.今回のin vivo脊髄損傷モデルにおける研究で,外因性NGFが神経細胞生存と軸索再成長誘導に働き,PDWHFによる血管新生は細胞外微小環境改善に働くと思われ,将来の脊髄損傷のリハビリテーション医学に関ってくるアプローチになる可能性がある.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.32.173