革新的手段『硝酸塩経口投与』でニホンジカを減らす ~メトヘモグロビン血症致死の検証と実用化に向けて

ニホンジカ Cervus nippon (以下, 「シカ」とする)の急激な増加に伴い, 農林業被害や自然生態系への悪影響が生じている. 各都道府県は, 鳥獣保護法に基づく特定鳥獣保護管理計画(以下, 「特定計画」とする)を策定し, 対策に取り組んでいるが, シカの個体数削減は遅々として進まない. 今よりもさらに強力な捕獲圧を加え, 大幅に個体数を減らすことが, シカ管理の主要な課題となっている. しかし, 捕獲に当たっては, 担い手の高齢化と減少, 銃器の使用規制, 作業の困難性・専門性, 費用等の問題も抱えており, その増強は容易ではない. さらに, 無理な捕獲強化は, 銃やわなによる人身事...

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Published in哺乳類科学 Vol. 55; no. 1; pp. 83 - 84
Main Author 大場, 孝裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2015
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Summary:ニホンジカ Cervus nippon (以下, 「シカ」とする)の急激な増加に伴い, 農林業被害や自然生態系への悪影響が生じている. 各都道府県は, 鳥獣保護法に基づく特定鳥獣保護管理計画(以下, 「特定計画」とする)を策定し, 対策に取り組んでいるが, シカの個体数削減は遅々として進まない. 今よりもさらに強力な捕獲圧を加え, 大幅に個体数を減らすことが, シカ管理の主要な課題となっている. しかし, 捕獲に当たっては, 担い手の高齢化と減少, 銃器の使用規制, 作業の困難性・専門性, 費用等の問題も抱えており, その増強は容易ではない. さらに, 無理な捕獲強化は, 銃やわなによる人身事故や, 錯誤捕獲など他の動物への悪影響も心配される. このような状況下, シカと同じ構造の胃を持つ, 反芻家畜の生産性低下を引き起こす諸問題の中に, 安全性が高く, シカ個体数削減に応用可能なものがないかを検討し, 硝酸塩中毒に光明を見出した.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.55.83