29.喉頭原発のLymphomatoid granulomatosis : LYGの1例(第29回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)

LYGは主に気管支, 肺を冒し, 血管中心性かつ血管破壊性の特徴を持つ細網系の増殖と肉芽腫の性格を併せ持つ稀な疾患である. 我々は喉頭に原発したLYG症例を経験したので, 治療経過と併せて報告する. 【症例】39歳男性. 2004年6月頃から咽頭痛が出現し徐々に増悪. 2005年1月より39℃台の発熱呼吸苦が出現し, 胸部CTで両肺多発性小結節影を認めた. 咽頭内視鏡検査で, 喉頭, 両側中~下咽頭に腫瘤を認め, 左下咽頭の生検では非特異的肉芽腫性炎症の所見であった. PETで鼻腔, 中咽頭, 両頸部, 両腋窩, 両縦隔, 腹部大動脈周囲, 両骨盤腔, 大腿リンパ節に集積を認め, 右鼠径リンパ...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 28; no. 7; p. 538
Main Authors 小野, 俊一, 鈴島, 仁, 鶴崎, 朋子, 彌永, 和宏, 下村, 泰三, 釘宮, 倫子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2006
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.28.7_538_2

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Summary:LYGは主に気管支, 肺を冒し, 血管中心性かつ血管破壊性の特徴を持つ細網系の増殖と肉芽腫の性格を併せ持つ稀な疾患である. 我々は喉頭に原発したLYG症例を経験したので, 治療経過と併せて報告する. 【症例】39歳男性. 2004年6月頃から咽頭痛が出現し徐々に増悪. 2005年1月より39℃台の発熱呼吸苦が出現し, 胸部CTで両肺多発性小結節影を認めた. 咽頭内視鏡検査で, 喉頭, 両側中~下咽頭に腫瘤を認め, 左下咽頭の生検では非特異的肉芽腫性炎症の所見であった. PETで鼻腔, 中咽頭, 両頸部, 両腋窩, 両縦隔, 腹部大動脈周囲, 両骨盤腔, 大腿リンパ節に集積を認め, 右鼠径リンパ節生検でLYGと診断7回のR-CHOP(リツキシマブ, ドキソルビシン, ビンクリスチン, シクロホスファミド, プレドニゾロン)療法を施行. 上咽頭, 軟口蓋, 咽頭後壁に残存病変を認め, CED-11療法(イリノテカン, カルボプラチン, VP‐16, デキサメサゾン), 続いてL-アスパラギナーゼを投与するも治療抵抗性であった. その後VP療法(ビンクリスチン, プレドニゾロン)を月に1回継続し, 徐々に病変の縮小, 可溶性IL-2受容体の減少を認めている. 【考察】LYGは治療抵抗性で予後不良の疾患である. 本症例もリツキシマブを含む化学療法で完全寛解に導入できなかった. しかしその後の少量化学療法の継続で部分寛解を維持しており, LYGの治療を考える上で興味深い症例と思われた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.28.7_538_2