28. 先天性気管食道瘻術後に再度小瘻孔を生じた1例(第27回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)

【はじめに】成人の先天性気道食道瘻のほとんどは主気管支以下の末梢気道に交通する気管支食道瘻であり, 成人の先天性気管食道瘻は非常に稀な疾患である. 前記疾患に対して手術を行ったものの, 長期経過後に再度瘻孔を形成し, 難治性肺炎を招いた症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えながら, 症例を提示する. 【症例】74歳, 女性. 幼小児期より咳が多くみられ, 水分摂取後に意識消失したことも数回あり. 1984年(55歳時), 各種検査にて先天性気管食道瘻(Gross分類H-type, 気管膜様部に径3cm瘻孔)の診断となり, 気管食道瘻閉鎖術を施行(右第5肋間開胸, 楔状に食道壁へ切り込む形...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 26; no. 7; p. 680
Main Authors 照屋, 孝夫, 河崎, 英範, 川畑, 勉, 国吉, 真行, 我部, 敦, 大田, 守雄, 石川, 清司, 平安, 恒男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2004
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.26.7_680_2

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Summary:【はじめに】成人の先天性気道食道瘻のほとんどは主気管支以下の末梢気道に交通する気管支食道瘻であり, 成人の先天性気管食道瘻は非常に稀な疾患である. 前記疾患に対して手術を行ったものの, 長期経過後に再度瘻孔を形成し, 難治性肺炎を招いた症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えながら, 症例を提示する. 【症例】74歳, 女性. 幼小児期より咳が多くみられ, 水分摂取後に意識消失したことも数回あり. 1984年(55歳時), 各種検査にて先天性気管食道瘻(Gross分類H-type, 気管膜様部に径3cm瘻孔)の診断となり, 気管食道瘻閉鎖術を施行(右第5肋間開胸, 楔状に食道壁へ切り込む形で瘻孔部を切離し, 食道壁の一部が気管側へ付着した形で, 気管を吸収糸で縫合閉鎖, 気管食道間に有茎筋弁等の間置は施行せず). 2000年頃より胸部X線上, 両肺野に網状影がみられ始め, 2003年5月に肺炎の診断にて入院. 一時軽快し退院となったが, 2003年10月に肺炎の再燃がみられ再入院となり, 食道造影にて気管食道瘻(pin-hole)の再発と診断された. 全身状態より再手術は行えず, 内視鏡的に瘻孔部への充填術を行ったが, 効果を認めず, 肺炎はそのまま重症化した. 【結語】成人の先天性気管食道瘻術後, 長期経過後に瘻孔再発を生じた症例を報告した. 気管食道瘻手術時の有茎弁間置に関し, その必要性が考慮された. 再発も念頭に置き, 慎重な術後の内視鏡検査が必要であると思われた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.26.7_680_2