42.喀血をきたし,診断に苦慮した気管支動脈瘤の1例(第33回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)

症例は,74歳女性. 近医にて,慢性腎不全と高血圧症に対して経過観察されていた. 自宅にて突然喀血を認め,当院救急部へ搬送となった. 入院時の検査所見では血圧:191/94mmHgと高血圧を認めたものの,それ以外の異常所見を認めなかった. 胸部CT所見では,気管気管支リンパ節腫大・右肺門リンパ節腫大・右中葉のGGOおよびconsolidationとvolume lossを,右下葉には斑状のopacityを認め,気管支拡張症や肺結核の可能性を考えた. 第2病日に気管支鏡検査を施行. 右TIMに出血とコアグラを認め,それ以上の操作は危険性が高いと判断し,観察のみで終了した. 第8病日,150mlの...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 6; p. 556
Main Authors 河野, 茂, 賀来, 敬仁, 宮崎, 泰可, 柳原, 克紀, 泉川, 公一, 関, 雅文, 佐々木, 英祐, 平野, 勝治, 山本, 善裕, 掛屋, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.6_556_3

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Summary:症例は,74歳女性. 近医にて,慢性腎不全と高血圧症に対して経過観察されていた. 自宅にて突然喀血を認め,当院救急部へ搬送となった. 入院時の検査所見では血圧:191/94mmHgと高血圧を認めたものの,それ以外の異常所見を認めなかった. 胸部CT所見では,気管気管支リンパ節腫大・右肺門リンパ節腫大・右中葉のGGOおよびconsolidationとvolume lossを,右下葉には斑状のopacityを認め,気管支拡張症や肺結核の可能性を考えた. 第2病日に気管支鏡検査を施行. 右TIMに出血とコアグラを認め,それ以上の操作は危険性が高いと判断し,観察のみで終了した. 第8病日,150mlの新鮮血の喀血と酸素化の低下を認め,放射線科にて気管支動脈塞栓術を施行するも,その後も喀血を認めた. 第24病日,気管支動脈病変の診断目的に施行した胸部造影CTにて,気管支動脈瘤を認め. 喀血の原因が気管支動脈瘤破裂によるものと診断した. 第27病日,放射線科にて再び気管支動脈瘤の塞栓術を施行した. 当症例では,当初は感染を契機にした気管支内出血による喀血と考え,気管支鏡検査を施行した. しかし胸部造影CTにより気管支動脈瘤の診断に至るという経過をたどった. 当症例では慢性腎不全であったこともあり,入院時に造影CTを施行しなかったが,喀血の際には胸部造影CTを積極的に行うべきであると考える. さらに喀血における気管支鏡検査施行時には,通常は感染などの診断目的にTBLB・brushing・washingを行うが,気管支動脈瘤の可能性を考え,それが否定されてから行うべきであることを経験した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.6_556_3