39.局所麻酔下胸腔鏡検査にて,確定診断を得た胸水ADA低値の結核性胸膜炎の1例(第19回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)
症例は95歳, 女性. 1年前に悪性リンパ腫に対して化学療法施行歴あり, 現在寛解の状態. 1カ月ほど前からの右胸痛と3日前からの呼吸困難感を主訴に当院呼吸器内科を受診. 胸部CTにて右胸水を認め, 胸水穿刺を施行しリンパ球優位の滲出性胸水を認めたが, 各種腫瘍マーカーは陰性, 胸水細胞診は陰性, ADA:31.8IU/lと有意な所見を認めなかった. なお, 全血QFT(R)は陽性であった. 原因検索目的に局所麻酔下胸腔鏡検査を施行したところ, 壁側胸膜に黄白色粒状病変を多数認め, 肉眼的に結核性胸膜炎と思われる所見を認めた. 病理組織所見にて乾酪壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫を認め結核性胸膜炎...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 3; p. 203 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2011
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.33.3_203_3 |
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Summary: | 症例は95歳, 女性. 1年前に悪性リンパ腫に対して化学療法施行歴あり, 現在寛解の状態. 1カ月ほど前からの右胸痛と3日前からの呼吸困難感を主訴に当院呼吸器内科を受診. 胸部CTにて右胸水を認め, 胸水穿刺を施行しリンパ球優位の滲出性胸水を認めたが, 各種腫瘍マーカーは陰性, 胸水細胞診は陰性, ADA:31.8IU/lと有意な所見を認めなかった. なお, 全血QFT(R)は陽性であった. 原因検索目的に局所麻酔下胸腔鏡検査を施行したところ, 壁側胸膜に黄白色粒状病変を多数認め, 肉眼的に結核性胸膜炎と思われる所見を認めた. 病理組織所見にて乾酪壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫を認め結核性胸膜炎と診断した. INH, RFP, EBの3剤治療を開始し右胸水の減少を認め, 治療経過良好であり第32病日に退院となった. 後に, 壁側胸膜の抗酸菌培養から結核菌を同定. 一般的に胸水中のADAが40IU/l以上では結核性胸膜炎の可能性が高いといわれている. 本症例では胸水中のADAは低値であったが, 局所麻酔下胸腔鏡検査にて結核性胸膜炎と早期診断が可能であった. 結核性胸膜炎の診断における局所麻酔下胸腔鏡検査は有用と考えられ, 若干の文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.33.3_203_3 |