30.当院におけるEBUS-TBNA使用の有用性についての検討(第18回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

【目的】超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は原因不明肺門・縦隔リンパ節診断, 転移性肺腫瘍における肺門・縦隔リンパ節転移評価において有用であることが言われている. 当院において施行したEBUS-TBNAの有用性について検討した. 【方法】2008年3月~2009年9月までの間当院で施行されたEBUS-TBNA症例について目的・リンパ節部位・サイズ・確定診断・合併症の有無などについて検討した. 【結果】約1年7カ月の間にEBUS-TBNAが施行された症例は23例(確定診断目的20例, 原発性肺癌病期診断目的2例, EGFR遺伝子変異検索目的1例), 確定診断がついたのは10例(小...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 2; pp. 202 - 203
Main Authors 伊藤, 静香, 松波, 馨士, 千酌, 浩樹, 井岸, 正, 渡辺, 仁成, 中本, 成紀, 倉井, 淳, 山崎, 章, 牧野, 晴彦, 中崎, 博文, 清水, 英治, 松本, 慎吾, 木下, 直樹, 橋本, 潔, 唐下, 泰一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.2_202_3

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Summary:【目的】超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は原因不明肺門・縦隔リンパ節診断, 転移性肺腫瘍における肺門・縦隔リンパ節転移評価において有用であることが言われている. 当院において施行したEBUS-TBNAの有用性について検討した. 【方法】2008年3月~2009年9月までの間当院で施行されたEBUS-TBNA症例について目的・リンパ節部位・サイズ・確定診断・合併症の有無などについて検討した. 【結果】約1年7カ月の間にEBUS-TBNAが施行された症例は23例(確定診断目的20例, 原発性肺癌病期診断目的2例, EGFR遺伝子変異検索目的1例), 確定診断がついたのは10例(小細胞癌5例, 腺癌3例, 扁平上皮癌1例, 悪性黒色腫の肺門リンパ節転移1例). 診断がつかなかった症例のうちサルコイドーシスと確定したのが2例, 悪性リンパ腫が1例, じん肺症1例, CTガイド下生検を行って原発性肺癌と診断がついたのが2例, 炎症性リンパ節として経過観察を続けているのが4例であった. 病期診断目的に施行した1例は転移を認めず手術が施行され, もう1例は転移を認めたため放射線化学療法が施行された. EGFR変異検索目的に施行された症例では腺癌の組織は得られていたが遺伝子変異は認めなかった. 23症例31個のリンパ節に対して穿刺が行われておりリンパ節の部位は肺門LN(右8個, 左4個), 気管分岐下LN(10個)が多かった. リンパ節穿刺において輸血を必要とするほどの多量の出血や気胸・縦隔気腫などの重篤な合併症は見られなかった. 【考察】EBUS-TBNAは原因不明肺門・縦隔リンパ節の診断において原発性肺癌(とりわけ小細胞癌)に対しては有用であったが, サルコイドーシス・悪性リンパ腫など比較的大きな組織を必要とする疾患においては確定診断に至らなかった. 本検査法によって悪性黒色腫の肺門リンパ節への転移の診断や肺癌の病期診断など治療方針を決定する上で非常に重要な情報を安全かつ低侵襲な方法で得ることが可能であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.2_202_3