気管支における早期扁平上皮癌・扁平上皮化生の組織細胞化学的評価(気管支鏡による細胞組織診断)(第 19 回日本気管支学会総会)

気管支における発癌過程で扁平上皮化生が異型度を増しつつ上皮内癌へと進展するとの考え方は多段階発癌のメカニズムが明らかにされようとしている中で各段階の遺伝子異常におけるphenotypeを反映しているのかもしれない。どんな扁平上皮化生が癌に進展する可能性が高いのか増殖能(Proliferating Nuclear Antigenの発現)・p53蛋白の蓄積を指標に検討することを試みた。軽度異型扁平上皮化生では増殖期細胞は基底膜側に極在するが, 異型が高度になるにつれ中間層にも増殖期細胞が現れるようになり, 上皮内癌ではこのような増殖期細胞の分布極性は失われた。また, 扁平上皮化生の1例と上皮内癌・...

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Published in気管支学 Vol. 18; no. 8; pp. 823 - 827
Main Authors 平野, 隆, 嘉村, 哲郎, 柴沼, 弘之, 岩淵, 裕, 池田, 徳彦, 岡田, 真也, 辻, 興, 島谷, 英明, 中村, 治彦, 斉藤, 誠, 小中, 千守, 加藤, 治文, 海老原, 善朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1996
日本気管支学会
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Summary:気管支における発癌過程で扁平上皮化生が異型度を増しつつ上皮内癌へと進展するとの考え方は多段階発癌のメカニズムが明らかにされようとしている中で各段階の遺伝子異常におけるphenotypeを反映しているのかもしれない。どんな扁平上皮化生が癌に進展する可能性が高いのか増殖能(Proliferating Nuclear Antigenの発現)・p53蛋白の蓄積を指標に検討することを試みた。軽度異型扁平上皮化生では増殖期細胞は基底膜側に極在するが, 異型が高度になるにつれ中間層にも増殖期細胞が現れるようになり, 上皮内癌ではこのような増殖期細胞の分布極性は失われた。また, 扁平上皮化生の1例と上皮内癌・進行扁平上皮癌症例それぞれ約40%でp53蛋白の核内蓄積を認めた。以上より増殖期細胞が中間層・表層にまで認める扁平上皮化生症例は厳重な経過観察が必要な病巣であり, またp53蛋白の蓄積症例はすでに癌に進展する可逆的な変化が発生していると考え, 上皮内癌と同様に内視鏡的治療の対象に入れることを考慮しても良いのではないかと考える。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.18.8_823