36.偽性肺胞性陰影を呈したサルコイドーシスの1例(第26回日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)

症例は28歳の電機工場に勤務している男性会社員. 既往歴に特記事項はない. 喫煙はタバコ16本/日を10年間, 飲酒はしない. ペットの飼育歴なし, 家族歴に特記事項はない. 自覚症状はなかったが, 2002年5月上旬の健康診断で胸部単純エックス線写真異常を認められた. 2002年5月22日当科に精査目的で紹介となった. 受診時理学的所見で異常はなかった. 胸部単純エックス線写真で右上肺野に大きさ4cmを超える孤立性塊状陰影を認めた. HRCT画像所見では気管支透亮像を伴った, 微細な粒状陰影の集合像を指摘できた. 縦隔リンパ節の明らかな腫脹はなかった. このため初診時異型肺炎を疑い, LVF...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 25; no. 7; pp. 584 - 585
Main Authors 阿部, 航, 道津, 安正, 大園, 恵幸, 迎, 寛, 河野, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
日本呼吸器内視鏡学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は28歳の電機工場に勤務している男性会社員. 既往歴に特記事項はない. 喫煙はタバコ16本/日を10年間, 飲酒はしない. ペットの飼育歴なし, 家族歴に特記事項はない. 自覚症状はなかったが, 2002年5月上旬の健康診断で胸部単純エックス線写真異常を認められた. 2002年5月22日当科に精査目的で紹介となった. 受診時理学的所見で異常はなかった. 胸部単純エックス線写真で右上肺野に大きさ4cmを超える孤立性塊状陰影を認めた. HRCT画像所見では気管支透亮像を伴った, 微細な粒状陰影の集合像を指摘できた. 縦隔リンパ節の明らかな腫脹はなかった. このため初診時異型肺炎を疑い, LVFXによる抗生剤治療を行った. 約1ヵ月間経過を観察したが異常陰影は消失しなかった. 2002年7月24日のHRCT画像所見では右中下肺野の陰影の増悪が認められた. 2002年8月2日確定診断目的に同意の上で気管支鏡検査を施行した. 結果BAL液中リンパ球分画の増加を認めた. さらにTBLBで巨細胞を含む肉芽腫を認めた. 検査当日に施行したツベルクリン反応は陰性であった. 以上の結果から肺サルコイドーシスと診断した. 自覚症状に乏しいこと, 発症から時問のたっていないこと, 今後自然軽快する可能性が高いことから, 無治療で経過観察することとした. 2003年3月現在外来で経過観察中であるがHRCTでも陰影の消失を認めた. 画像所見でBHLを欠いた肺サルコイドーシスは珍しくないが孤立性の偽性肺胞性陰影パターンを呈するものは稀と思われ, 臨床的に貴重と思われたので報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.7_584_4