3.ラリンゲアルマスク下に腫瘍摘出術を施行した気管平滑筋腫の1手術例(第34回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)

症例は74歳, 男性. 声帯ポリープの経過観察中, 喉頭鏡で声帯直下の気管腫瘍を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 嗄声あるも呼吸苦や喘鳴などの呼吸器症状はなかった. 既往歴にCOPDがあり, 呼吸機能検査は閉塞性パターンで明らかな上気道閉塞パターンは呈していなかった. 聴診では呼吸音に左右差なく, 胸部X線写真で明らかな浸潤影や無気肺はなかった. CTでは腫瘍は声帯下2cmの気管右後壁に位置し, 境界明瞭な充実性病変で広基性に気管内腔へ突出して内腔約30%の狭窄がみられた. 石灰化や明らかな肺病変はなかった. 気管支鏡検査では腫瘍は粘膜下に存在し, NBIで粘膜下血管の拡張, 蛇行...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 5; p. 393
Main Authors 佐藤, 雅美, 狩集, 弘太, 原田, 亜矢, 青木, 雅也, 中村, 好宏, 脇田, 和博, 田畑, 和宏, 大塚, 綱志, 酒瀬川, 浩一, 永田, 敏行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.5_393_3

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Summary:症例は74歳, 男性. 声帯ポリープの経過観察中, 喉頭鏡で声帯直下の気管腫瘍を指摘され, 精査加療目的に当科紹介となった. 嗄声あるも呼吸苦や喘鳴などの呼吸器症状はなかった. 既往歴にCOPDがあり, 呼吸機能検査は閉塞性パターンで明らかな上気道閉塞パターンは呈していなかった. 聴診では呼吸音に左右差なく, 胸部X線写真で明らかな浸潤影や無気肺はなかった. CTでは腫瘍は声帯下2cmの気管右後壁に位置し, 境界明瞭な充実性病変で広基性に気管内腔へ突出して内腔約30%の狭窄がみられた. 石灰化や明らかな肺病変はなかった. 気管支鏡検査では腫瘍は粘膜下に存在し, NBIで粘膜下血管の拡張, 蛇行がみられたが易出血傾向はなかった. 精査より良性腫瘍が考えられたが, 病変部位から気管閉塞の可能性もあり手術の方針とした. ラリンゲアルマスク換気による全身麻酔下に気管支鏡を用いて腫瘍基部をスネアで切離した. 切離面は白色調で出血なく, 続いて残存病変を膜様部筋層より鉗子で剥離して摘出した. 剥離面からの出血や明らかな気管穿孔がないこと確認し, 手術終了とした. 術後も呼吸状態に著変なく, 経過良好であった. 病理組織像は束状に増殖した紡錘形細胞が錯綜し, 明らかな細胞異型や核分裂像はなく, 最終病理診断は平滑筋腫であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.5_393_3