MWS-6  骨肉腫抗原PBFを標的とした骨肉腫患者に対するペプチドワクチン療法第1相臨床試験

骨肉腫患者の予後は化学療法の導入により5年生存率約70%に向上した.しかし化学療法不応性の骨肉腫患者の予後はいまだに不良である.また上皮系癌と比べて若年発症例が多く,骨肉腫に対するペプチドワクチン療法に対する期待は大きい.我々は1999年より骨肉腫に対するペプチドワクチンの開発を始め,世界で初めて自家CTLクローンに認識されるヒト骨肉腫抗原PBFをcDNAライブラリ発現クローニング法により同定した.PBF蛋白全長よりHLA-A24拘束性ペプチド(PBF A24.2)およびHLA-A2拘束性ペプチド(PBF A2.2)を設計し,これらの免疫原性を検討した.そしてPBFペプチドを用いた末期骨肉腫患...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 35; no. 4; p. 323b
Main Authors 塚原, 智英, 江森, 誠人, 鳥越, 俊彦, 佐藤, 昇志, 和田, 卓郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2012
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Summary:骨肉腫患者の予後は化学療法の導入により5年生存率約70%に向上した.しかし化学療法不応性の骨肉腫患者の予後はいまだに不良である.また上皮系癌と比べて若年発症例が多く,骨肉腫に対するペプチドワクチン療法に対する期待は大きい.我々は1999年より骨肉腫に対するペプチドワクチンの開発を始め,世界で初めて自家CTLクローンに認識されるヒト骨肉腫抗原PBFをcDNAライブラリ発現クローニング法により同定した.PBF蛋白全長よりHLA-A24拘束性ペプチド(PBF A24.2)およびHLA-A2拘束性ペプチド(PBF A2.2)を設計し,これらの免疫原性を検討した.そしてPBFペプチドを用いた末期骨肉腫患者に対するペプチドワクチンの第1相臨床試験を2009年より開始した.これまでにPBFA24.2ペプチド+IFAを5例に,PBFA2.2ペプチド+IFAを2例に接種した.PBF A24.2ペプチド症例の5/6例で,PBF A2.2ペプチド症例の1/2例でペプチド特異的免疫応答がテトラマーまたはELISPOTで検出された.臨床効果は全例PDであったが,PBF A2.2ペプチドを接種した1例で皮下転移巣の石灰化がみられ,切除標本において腫瘍の部分壊死とCD8陽性T細胞の浸潤が認められた.ペプチドワクチンによる効果が示唆された.有害事象としてアドリアマイシン心筋症によると考えられるCPAが1例でみられた.他に重篤な有害事象はみられなかった.今後さらに症例を重ねて,ペプチドワクチンの免疫応答,臨床効果と安全性を検討していく.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.35.323b