P1-031  ホリスタチン関連タンパク質はCD14とToll様受容体4を介して自然免疫反応を惹起する

ホリスタチン関連タンパク質(FRP)は分泌タンパクであり,TGF-βスーパーファミリータンパクとの相互作用により臓器の分化形成に関わる.またFRPは関節リウマチの自己抗原であり,マウス実験関節炎の抑制あるいは促進作用,ラット実験心移植の生着改善作用などの報告もある.しかし,FRPは炎症の促進・抑制のいずれに働くものであるか一定せず,また分子レベルでの作用機序も不明であった.これまでの研究で,FRPがCD14と結合する知見が得られていたため,FRPがCD14とTLR4を介して自然免疫反応を惹起する可能性を検討した.ヒトFRPはヒト培養関節滑膜細胞のIL-6産生を促進し,マウスFRPはマウス線維芽...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 35; no. 4; p. 342a
Main Authors 村上, 孝作, 田中, 真生, 臼井, 崇, 川端, 大介, 塩見, 葵, 井口, 美季子, 清水, 正和, 吉藤, 元, 湯川, 尚一郎, 大村, 浩一郎, 藤井, 隆夫, 梅原, 久範, 三森, 経世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2012
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Summary:ホリスタチン関連タンパク質(FRP)は分泌タンパクであり,TGF-βスーパーファミリータンパクとの相互作用により臓器の分化形成に関わる.またFRPは関節リウマチの自己抗原であり,マウス実験関節炎の抑制あるいは促進作用,ラット実験心移植の生着改善作用などの報告もある.しかし,FRPは炎症の促進・抑制のいずれに働くものであるか一定せず,また分子レベルでの作用機序も不明であった.これまでの研究で,FRPがCD14と結合する知見が得られていたため,FRPがCD14とTLR4を介して自然免疫反応を惹起する可能性を検討した.ヒトFRPはヒト培養関節滑膜細胞のIL-6産生を促進し,マウスFRPはマウス線維芽細胞株のIL-6産生を促進した.マウス関節炎モデルでは,マウスFRPを高発現させたT細胞を移入すると関節炎は増悪した.さらに,これらFRPの作用には種特異性が存在することも示された.野生型マウス由来の脾細胞では,添加したマウスFRPの濃度依存性にIL-6産生が増加するのに対し,TLR4ノックアウトマウス由来の脾細胞では無反応であった.また,293細胞はCD14,MD2,TLR4を発現させた場合のみFRP濃度依存性にIL-8産生が増加した.さらに,FRPは,リポ多糖(LPS)と同様にTLR4シグナルのトレランスを誘導した.従って,免疫系におけるFRPの作用は,自然免疫系では炎症反応を促進し,この場合の受容体がCD14を介したTLR4であることが明らかとなった.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.35.342a