31.呼吸困難で発症し,高周波スネアによる気管支鏡下切除を行った甲状腺乳頭癌気管浸潤の1例(第131回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)

68歳女性. 40年前から前頸部に甲状腺と思われる腫瘤が硬く触知していたが, 検査されたことはなかった. 2カ月持続する血痰と呼吸困難を主訴に近医から当院紹介となった. 深吸気時に喉頭の閉塞感を訴え, 吸気時から呼気時に連続する喘鳴が聞かれ, 症状から上気道閉塞が疑われた. 緊急で頸部から胸部のCTを撮影し, 気管上部に内腔に突出する腫瘍が見られた. 甲状腺は石灰化が見られていたが腫瘍は明らかではなかった. 2日後に高周波スネアにて気管内腔の腫瘍を気管支鏡下に切除し, 呼吸困難は劇的に改善した. 切除標本からの病理より甲状腺乳頭癌と診断された. その後は甲状腺癌の治療のため, 他院に紹介となっ...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 1; p. 97
Main Authors 家城, 隆次, 本多, 紘二郎, 木下, 博之, 安田, 睦子, 薬師寺, 史厚, 臼井, 亮, 蕨, 雅広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.1_97_4

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Summary:68歳女性. 40年前から前頸部に甲状腺と思われる腫瘤が硬く触知していたが, 検査されたことはなかった. 2カ月持続する血痰と呼吸困難を主訴に近医から当院紹介となった. 深吸気時に喉頭の閉塞感を訴え, 吸気時から呼気時に連続する喘鳴が聞かれ, 症状から上気道閉塞が疑われた. 緊急で頸部から胸部のCTを撮影し, 気管上部に内腔に突出する腫瘍が見られた. 甲状腺は石灰化が見られていたが腫瘍は明らかではなかった. 2日後に高周波スネアにて気管内腔の腫瘍を気管支鏡下に切除し, 呼吸困難は劇的に改善した. 切除標本からの病理より甲状腺乳頭癌と診断された. その後は甲状腺癌の治療のため, 他院に紹介となった. 気管内腫瘍には, 気管原発の腫瘍, 転移性腫瘍, 隣接臓器からの直線浸潤などを鑑別する必要がある. また気管内の腫瘍に対して, 高周波スネアによる切除は短時間で腫瘍を切除し, 腫瘍全体を病理標本に提出できる利点がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.1_97_4