オキナワトゲネズミ再発見と,トゲネズミ研究の最近

トゲネズミ属Tokudaiaはわが国の固有属で沖縄島(オキナワトゲネズミT.muenninki), 徳之島(トクノシマトゲネズミT.tokunoshimensis)及び奄美大島(アマミトゲネズミT.osimensis)に生息する. これら3種は, 生息地ごとにそれぞれ種分化し, 形態的に, また遺伝的に異なるため, 進化学や動物地理学, 細胞遺伝学的に興味が持たれてきた, 本属は1972年に国の天然記念物に指定され, 環境省のRDBでオキナワトゲネズミは絶滅危惧IA類(CR), トクノシマトゲネズミとアマミトゲネズミは絶滅危惧IB類(EN)にランクされている. 祖先型の沖縄島のオキナワトゲネズ...

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Published in哺乳類科学 Vol. 49; no. 1; pp. 133 - 135
Main Authors 山田, 文雄, 鈴木, 仁, 黒岩, 麻里, 村田, 知慧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2009
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Summary:トゲネズミ属Tokudaiaはわが国の固有属で沖縄島(オキナワトゲネズミT.muenninki), 徳之島(トクノシマトゲネズミT.tokunoshimensis)及び奄美大島(アマミトゲネズミT.osimensis)に生息する. これら3種は, 生息地ごとにそれぞれ種分化し, 形態的に, また遺伝的に異なるため, 進化学や動物地理学, 細胞遺伝学的に興味が持たれてきた, 本属は1972年に国の天然記念物に指定され, 環境省のRDBでオキナワトゲネズミは絶滅危惧IA類(CR), トクノシマトゲネズミとアマミトゲネズミは絶滅危惧IB類(EN)にランクされている. 祖先型の沖縄島のオキナワトゲネズミは, 近年生息情報がないために絶滅したと考えられていたが, 去年(2008年3月)に, われわれの捕獲調査チームによって生息を確認できたため, 3種を対象にした新たな研究展開や保全目標の設定が可能となってきた. 本自由集会においては, トゲネズミ属のここ数年におけるわれわれの研究状況を報告し, 今後の進展方向や保全の課題について検討した.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.49.133