7.フローボリューム曲線上のnotchを契機に発見された気管憩室の1例(第135回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)
症例は69歳, 男性. 10年ほど前から毎年春に乾性咳嗽を認め, 咳喘息として治療を受けていた. 2010年4月慢性咳嗽を主訴に当院を受診した. 吸入ステロイド, 気管支拡張薬を開始後, 咳嗽は改善してきたが, フローボリューム曲線で呼気25%肺気量位付近にnotchを認めた. 気管3D-CTと気管支内視鏡検査で, 気管上部の右後方で軟骨輪と膜様部の境界に, 縦列した数mm大の気管憩室により生じた気管傍空気嚢胞を認め, また気管分岐部直上の後方には膜様部の縦走襞が欠損した2cm大の憩室を認め, 粘膜を通して奇静脈の走行を確認できた. 咳嗽以外の症状を認めず, これまで気管憩室による合併症を認め...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 2; p. 130 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2011
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.33.2_130_2 |
Cover
Summary: | 症例は69歳, 男性. 10年ほど前から毎年春に乾性咳嗽を認め, 咳喘息として治療を受けていた. 2010年4月慢性咳嗽を主訴に当院を受診した. 吸入ステロイド, 気管支拡張薬を開始後, 咳嗽は改善してきたが, フローボリューム曲線で呼気25%肺気量位付近にnotchを認めた. 気管3D-CTと気管支内視鏡検査で, 気管上部の右後方で軟骨輪と膜様部の境界に, 縦列した数mm大の気管憩室により生じた気管傍空気嚢胞を認め, また気管分岐部直上の後方には膜様部の縦走襞が欠損した2cm大の憩室を認め, 粘膜を通して奇静脈の走行を確認できた. 咳嗽以外の症状を認めず, これまで気管憩室による合併症を認めなかったため, 外科的治療は行わずに経過観察している. 慢性咳嗽の患者でフローボリューム曲線のnotchを認めた場合, 気管もしくは主気管支の狭窄を疑う必要があるが, 気管憩室も鑑別に挙げられる. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.33.2_130_2 |