40. 重複癌と考えられた肺腺癌の1症例(第16回日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は59歳男性, 8ヶ月前からの血痰を主訴として外来受診した. 職歴としてアスベスト曝露があった. 胸部X線写真で右上肺および左下肺の異常影を認めた. 胸部CTでは, 右上葉に長径2.5cm大の結節影を認め, 左下葉S8~10にすりガラス陰影を認めた. PET-CTでは右上葉, 左下葉に異常な集積を認めた. 左下葉気管支洗浄にて洗浄液から腺癌細胞を検出した. 右上葉B1からブラシ挿入し腺癌細胞を検出した. 一方の病変が転移の可能性も完全には否定できなかったが, 重複癌で右上葉, 左下葉ともStage IBとの判断で, 外科的切除を行った. 術後診断は右上葉はStage IB, 左下葉はSta...

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Published in気管支学 Vol. 30; no. 3; p. 164
Main Authors 谷口, 暁彦, 塩田, 雄太郎, 堀田, 尚克, 岡原, 正幸, 小野, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:症例は59歳男性, 8ヶ月前からの血痰を主訴として外来受診した. 職歴としてアスベスト曝露があった. 胸部X線写真で右上肺および左下肺の異常影を認めた. 胸部CTでは, 右上葉に長径2.5cm大の結節影を認め, 左下葉S8~10にすりガラス陰影を認めた. PET-CTでは右上葉, 左下葉に異常な集積を認めた. 左下葉気管支洗浄にて洗浄液から腺癌細胞を検出した. 右上葉B1からブラシ挿入し腺癌細胞を検出した. 一方の病変が転移の可能性も完全には否定できなかったが, 重複癌で右上葉, 左下葉ともStage IBとの判断で, 外科的切除を行った. 術後診断は右上葉はStage IB, 左下葉はStage IIIAであった. 術後, カルボプラチン, パクリタキセルにて化学療法を行った. 現在再発は認められていない. 肺野に多発性腫瘍性病変を認めた場合に, 転移であるか重複癌と考えるか問題となることもあるが, 本症例は両病変を外科的に切除して現在までのところ疾患をコントロールできている.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.3_164_4