8.肝膿瘍から併発した胸膜炎に対して局所麻酔下胸腔鏡で胸腔内掻爬し治癒しえた症例(第131回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)

症例は64歳男性, 既往に脳血栓症と膀胱癌がある. 1か月前から食欲不振, 倦怠感が強くなり傾眠がみられていた. 血尿もあり近医を再三受診したが診断がつかずにいた. 右胸痛を自覚したため当院救急外来を受診した. 胸部X線で右胸腔の濃度上昇と血液検査で炎症反応の高値があり感染性胸膜炎を疑い入院となった. 胸部CTで肝に低吸収域を認め, 肝膿瘍に併発した感染性胸膜炎が考えられた. 腹腔と胸腔が交通しており同時治療が必要と考え直ちに局所麻酔下胸腔鏡で掻爬を行い洗浄を開始するとともに同日に肝膿瘍に対しドレナージをはじめた. 細菌検査で同一菌Bacteroides fragillisが検出された. 肝膿...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 1; p. 93
Main Authors 内海, 啓子, 鏑木, 孝之, 中澤, 健介, 橋本, 幾太, 山口, 昭三郎, 雨宮, 隆太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.1_93_3

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Summary:症例は64歳男性, 既往に脳血栓症と膀胱癌がある. 1か月前から食欲不振, 倦怠感が強くなり傾眠がみられていた. 血尿もあり近医を再三受診したが診断がつかずにいた. 右胸痛を自覚したため当院救急外来を受診した. 胸部X線で右胸腔の濃度上昇と血液検査で炎症反応の高値があり感染性胸膜炎を疑い入院となった. 胸部CTで肝に低吸収域を認め, 肝膿瘍に併発した感染性胸膜炎が考えられた. 腹腔と胸腔が交通しており同時治療が必要と考え直ちに局所麻酔下胸腔鏡で掻爬を行い洗浄を開始するとともに同日に肝膿瘍に対しドレナージをはじめた. 細菌検査で同一菌Bacteroides fragillisが検出された. 肝膿瘍の縮小を確認しつつ, 膿胸に対し2回の掻爬と穿刺洗浄を繰り返し1か月後に退院となった. 腹腔と胸腔内感染の同時治療を進めていくのに局所麻酔下胸腔鏡での処置は臨機応変かつ容易に行うことができ, 治療に有用であったため報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.1_93_3