11.UFTによる薬剤性肺臓炎の1例(第26回日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)

5-FU系薬剤のUFTはテガフールとウラシルを混合した抗悪性腫瘍薬であり, 臨床的に広く使用されている. 今回我々は, UFT内服中に間質性肺炎をきたし, UFTによる薬剤性肺臓炎と考えた症例を経験したので報告する. 症例は60歳の男性. 平成12年11月の検診にて胸部異常陰影を指摘され, 同年12月に当科を受診した. 右S6に多発結節影を認め, 平成14年3月の胸部CTにて陰影の増大がみられたため精査目的にて同年3月19日当科に入院となった. 経気管支的肺生検を行うも診断を得られず, 当院第二外科にて右S6区域切除術が施行された. 術中診断にて肺癌(腺癌)との結果を得て右下葉切除術を行った....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 7; p. 578
Main Authors 安藤, 俊二, 水之江, 俊治, 雨宮, 由明, 時松, 一成, 岩田, 敦子, 雨宮, 由佳, 河野, 淳子, 門田, 淳一, 那須, 勝, 本村, 充輝, 永井, 寛之, 大谷, 哲史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.25.7_578_3

Cover

More Information
Summary:5-FU系薬剤のUFTはテガフールとウラシルを混合した抗悪性腫瘍薬であり, 臨床的に広く使用されている. 今回我々は, UFT内服中に間質性肺炎をきたし, UFTによる薬剤性肺臓炎と考えた症例を経験したので報告する. 症例は60歳の男性. 平成12年11月の検診にて胸部異常陰影を指摘され, 同年12月に当科を受診した. 右S6に多発結節影を認め, 平成14年3月の胸部CTにて陰影の増大がみられたため精査目的にて同年3月19日当科に入院となった. 経気管支的肺生検を行うも診断を得られず, 当院第二外科にて右S6区域切除術が施行された. 術中診断にて肺癌(腺癌)との結果を得て右下葉切除術を行った. 病理組織にて脈管侵襲を認め, 腫瘍が多結節状に広がり, 肺内転移の可能性があったため, 外来にてUFT400mg/日の内服が開始された. 内服9ヵ月後の平成15年4月15日の胸部CTにて右上葉にスリガラス状陰影が出現したため精査目的にて当科第2回目の入院となった. 特に自覚症状はなかったが, 画像所見と経過からUFTによる薬剤性肺臓炎を疑い気管支鏡を施行した. 気管支肺胞洗浄液所見ではリンパ球が25.3%と軽度増加し, CD4/8比は0.29と低下していた. UFTに対する薬剤リンパ球刺激試験(DLST)は気管支肺胞洗浄液, 末梢血ともに陽性であった. 以上よりUFTによる薬剤性肺臓炎と診断した. 自覚症状なく, 血液ガス所見も正常であったため, ステロイド薬等による治療は行わず, 薬剤の中止のみにて現在経過観察中である. UFTによる間質性肺炎の報告は, 我々の検索し得た範囲では3例と希であるが, 注意を要すると考え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.7_578_3