36.高度肺気腫合併の両側気胸に対して胸腔鏡下にpolyglactin meshを使用した1例(第18回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は74歳男性で, 既往歴に60歳頃に肺気腫を指摘されていた. これまでも両側の胸痛を自覚することがあったが, 安静により軽快するため放置していた. 2007年2月に左気胸を発症し, drainageにより改善. 2007年9月には右気胸を発症し, drainageを受け, air leakが止まらなかったことから胸膜癒着術を受け改善した. 2007年11月に再度左気胸を指摘され, drainageを受けたところ持続性のair leakであり内科的治療困難と判断され, 当科に紹介となった. 翌日に胸腔鏡下左肺部分切除術を施行した. 術中所見として薄壁のブラを認めたが, 占拠部位から単純切除は...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 2; p. 204
Main Authors 三崎, 伯幸, 黄, 政龍, 垂水, 晋太郎, 井貝, 仁, 中島, 成泰, 横見瀬, 裕保, 張, 性洙, 石川, 真也, 後藤, 正司, 松浦, 奈都美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.2_204_1

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Summary:症例は74歳男性で, 既往歴に60歳頃に肺気腫を指摘されていた. これまでも両側の胸痛を自覚することがあったが, 安静により軽快するため放置していた. 2007年2月に左気胸を発症し, drainageにより改善. 2007年9月には右気胸を発症し, drainageを受け, air leakが止まらなかったことから胸膜癒着術を受け改善した. 2007年11月に再度左気胸を指摘され, drainageを受けたところ持続性のair leakであり内科的治療困難と判断され, 当科に紹介となった. 翌日に胸腔鏡下左肺部分切除術を施行した. 術中所見として薄壁のブラを認めたが, 占拠部位から単純切除は困難と判断して, polyglactin(Vicryl)meshでブラ部を覆うようにして自動縫合器で縫着し手術を終了した. 術後leakは認めず, 3PODで退院となった. さらに2008年12月に右気胸を再発し, 当科に入院となった. 入院同日に胸腔鏡併用右肺瘻閉鎖術を施行した. 小開胸を併設し, 癒着を剥離した. 肺尖部からleakを認めた. 肺瘻部は縫合閉鎖した. また, 肺全体にブラが存在しており再発の可能性も高いと判断し, 全体にpolyglactin meshを縫着して手術を終了した. 術後軽度のair leakを認めたが, 経過観察で改善し, 6PODでHOT導入して独歩退院となった. 術後2カ月でHOTも中止した. 現在も術前と同等のADLが確保できており, 気胸再発も認めていない. 再発を繰り返す気胸でコントロールが難しい症例に対してpolyglactin meshの使用は任意の部位に癒着を作成することができ, 有効な方法と思われた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.2_204_1