価値の明確化を伴う行動活性化手続きの産後うつ症状改善効果―症例報告

本報告では、価値の明確化と行動活性化を中心とした治療によって症状緩和と生活改善が見られた、出産をきっかけにうつ病となったクライエントの治療経過を報告した。30代女性のクライエントに対して、1回60分、計22回のセッションが実施された。2回目面接において価値のワークが導入され、作成された価値リストに基づいて行動活性化が進められた。治療の結果、抑うつ症状の指標であるBDI-IIは29点から13点、特性不安の指標であるSTAI-Tは58点から38点、心理的柔軟性の指標であるAAQ-IIは19点から30点へと改善した。また、クライエントにとって価値に沿った行動である手料理を作る行動の回数は、1日あたり...

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Published in行動療法研究 Vol. 43; no. 2; pp. 105 - 114
Main Author 高橋, 史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 31.05.2017
日本認知・行動療法学会
Japanese Association for Behavioral and Cognitive Therapies( JABCT )
Subjects
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.15-147

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Summary:本報告では、価値の明確化と行動活性化を中心とした治療によって症状緩和と生活改善が見られた、出産をきっかけにうつ病となったクライエントの治療経過を報告した。30代女性のクライエントに対して、1回60分、計22回のセッションが実施された。2回目面接において価値のワークが導入され、作成された価値リストに基づいて行動活性化が進められた。治療の結果、抑うつ症状の指標であるBDI-IIは29点から13点、特性不安の指標であるSTAI-Tは58点から38点、心理的柔軟性の指標であるAAQ-IIは19点から30点へと改善した。また、クライエントにとって価値に沿った行動である手料理を作る行動の回数は、1日あたり0.7回から2.1回へと増加した。以上の経過から、産後うつ症状を示すクライエントに対する価値の明確化と行動活性化手続きの併用効果が示された。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.15-147