13.縦隔鏡下生検による診断後の迅速な放射線化学療法が奏効した上大静脈症候群を伴う小細胞肺癌の1例(第84回日本呼吸器内視鏡学会近畿支部会)

症例は63歳男性. 1か月前より増悪する頭頸部・上肢浮腫, 頭痛, 呼吸困難を主訴として受診. 上大静脈閉塞, 気道狭窄を伴う広範な縦隔リンパ節腫脹をCT上認め, 早急な診断加療が必要と考えられた. 気管支鏡下経気管支針生検で診断が得られず, さらに急速に症状増悪したため全麻下頸部縦隔鏡下生検を施行. 頸部の多数の怒張静脈及び気管表面までの深さ3cmの著明な浮腫を認め, さらに腫瘍に取り囲まれた気管前間隙は非常に狭小であったが気管前リンパ節の生検にて小細胞肺癌と診断し得た. 麻酔, 外科処置に伴う合併症は皆無で, 診断2日目より縦隔に対する根治的加速分割放射線照射を開始(45Gy/30Fr)....

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 31; no. 2; p. 110
Main Authors 河野, 恵美子, 佐々木, 義明, 板野, 秀樹, 稲田, 啓次, 鈴木, 夕子, 大野, 喜代志, 西多, 俊幸, 田中, 陽子, 田子, 謙太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2009
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.31.2_110_1

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Summary:症例は63歳男性. 1か月前より増悪する頭頸部・上肢浮腫, 頭痛, 呼吸困難を主訴として受診. 上大静脈閉塞, 気道狭窄を伴う広範な縦隔リンパ節腫脹をCT上認め, 早急な診断加療が必要と考えられた. 気管支鏡下経気管支針生検で診断が得られず, さらに急速に症状増悪したため全麻下頸部縦隔鏡下生検を施行. 頸部の多数の怒張静脈及び気管表面までの深さ3cmの著明な浮腫を認め, さらに腫瘍に取り囲まれた気管前間隙は非常に狭小であったが気管前リンパ節の生検にて小細胞肺癌と診断し得た. 麻酔, 外科処置に伴う合併症は皆無で, 診断2日目より縦隔に対する根治的加速分割放射線照射を開始(45Gy/30Fr). 6日目よりCBDCA, VP-16による全身化学療法を施行し得た. 治療開始10日で顕著な症状軽快をみた. 放射線化学療法4クール施行後CTにて著明な腫瘍縮小(PR)を認めた. 上大静脈症候群合併例の縦隔鏡検査は比較的高い合併症率が報告されているが, 本症例では安全に施行し得, 迅速な治療が可能であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.31.2_110_1