6.胸腔鏡手術時初めて胸膜プラークを認め石綿関連肺癌と診断した1例(第32回 日本呼吸器内視鏡学会北海道支部会)

【はじめに】石綿関連肺癌は今後増加することが予測されるが2008年度の労災認定数は503件とまだ多くはない. 胸膜プラークは過去にアスベスト曝露を受けたことを示す医学的所見として, また労災認定上の要件の1つとして重要である. しかし胸部写真やCT画像でも必ずしも確認できるわけではない. 本邦では肺癌手術例が増加しており今後術中初めて胸膜プラークを確認する機会も珍しくないと考えられる. 肺癌取扱い規約第7版でも手術記載にPlq0, 1が加えられた. 今回胸腔鏡手術時に初めて胸膜プラークを確認し石綿関連肺癌と診断した1例を報告する. 【症例】76歳男性. 喫煙歴はなし. 職歴は大工(アスベスト曝...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 1; pp. 59 - 60
Main Authors 岡本, 賢三, 猫塚, 洋子, 村上, 洋平, 河上, 彩恵, 石原, 敏道, 伊古田, 明美, 林, 浩三, 松毛, 真一, 佐藤, 修二, 松下, 直彦, 渋谷, 譲, 大沼, 法友, 堀毛, 清史, 鹿野, 哲, 細川, 誉至雄, 高木, 秀雄, 田尾, 嘉浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.1_59_3

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Summary:【はじめに】石綿関連肺癌は今後増加することが予測されるが2008年度の労災認定数は503件とまだ多くはない. 胸膜プラークは過去にアスベスト曝露を受けたことを示す医学的所見として, また労災認定上の要件の1つとして重要である. しかし胸部写真やCT画像でも必ずしも確認できるわけではない. 本邦では肺癌手術例が増加しており今後術中初めて胸膜プラークを確認する機会も珍しくないと考えられる. 肺癌取扱い規約第7版でも手術記載にPlq0, 1が加えられた. 今回胸腔鏡手術時に初めて胸膜プラークを確認し石綿関連肺癌と診断した1例を報告する. 【症例】76歳男性. 喫煙歴はなし. 職歴は大工(アスベスト曝露歴あり). 現病歴では振動病で近医に通院中であった. 2009年3月の胸部写真で右下葉に腫瘤を指摘されるも本人の都合で経過観察, 10月の検査で陰影が増大したため精査を行なった. 扁平上皮癌の診断となり職歴から石綿関連肺癌が疑われ当院に紹介入院. 胸部写真, CTでは右下葉の腫瘤影と間質性肺炎の像が指摘されるが明らかな胸膜プラークの所見は認めなかった. 12月に胸腔鏡補助下に手術を行なった. 審査胸腔鏡で胸膜プラークが確認された. 右下葉切除ND2-aを試行. 病理組織所見では扁平上皮癌で腫瘍径5×3cm, pT2aN1M0IIA期. 病理組織標本に石綿小体(AB)を認めたためABを測定, 1839本/g(乾燥肺)であった. 【結語】肺癌に対する胸腔鏡手術は増加しており呼吸器外科医が石綿関連肺癌に接する機会は多い. 今後, 手術中の胸腔内観察が石綿関連肺癌を発見する上で重要と考えられる.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.1_59_3