35.透視下気管支粘膜生検が診断に有用であった肺悪性疾患の2例(第17回日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

今回我々は, 病巣が第IIIからIV次分岐の亜から亜々区域支周囲に存在し, 気管支鏡にて直視不能で生検鉗子が病巣部気管支内を通り抜けてしまうような症例に対して, 透視下気管支粘膜生検を行い, 診断に有用であった肺悪性疾患2症例を経験した. 症例1は53歳の女性. 胸部CTにて左B8, B9, B10周囲に浸潤陰影を認め, それら亜区域支は病巣を通り抜けている状態であった. 症例2は67歳の女性. 胸部CTにて右B8, B9周囲に腫瘤性病変を認めていたが, 同じくそれらの亜区域支も病巣を通り抜けていた. 気管支鏡検査所見もCT所見と同じく2症例とも生検鉗子が亜区域支から末梢へ通り抜けてしまい,...

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Published in気管支学 Vol. 31; no. 3; p. 177
Main Authors 濱田, 昇, 高橋, 秀治, 河田, 典子, 柴山, 卓夫, 多田, 敦彦, 宗田, 良, 高橋, 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2009
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:今回我々は, 病巣が第IIIからIV次分岐の亜から亜々区域支周囲に存在し, 気管支鏡にて直視不能で生検鉗子が病巣部気管支内を通り抜けてしまうような症例に対して, 透視下気管支粘膜生検を行い, 診断に有用であった肺悪性疾患2症例を経験した. 症例1は53歳の女性. 胸部CTにて左B8, B9, B10周囲に浸潤陰影を認め, それら亜区域支は病巣を通り抜けている状態であった. 症例2は67歳の女性. 胸部CTにて右B8, B9周囲に腫瘤性病変を認めていたが, 同じくそれらの亜区域支も病巣を通り抜けていた. 気管支鏡検査所見もCT所見と同じく2症例とも生検鉗子が亜区域支から末梢へ通り抜けてしまい, 通常生検は不能であった. そこで透視下に病巣部の亜区域支内で鉗子を開きそのまま末梢方向へ押しつけるように鉗子を進め, 亜区域から亜々区域気管支粘膜を採取した. 病理所見では2症例とも気管支粘膜下に悪性細胞を認め, 症例1は肺悪性リンパ腫, 症例2は肺非小細胞癌と診断した. 第IIIからIV次分岐周囲などの比較的中枢気管支周囲で生検鉗子が病巣を通過するような病変に対して本処置は診断に有用であり, より侵襲的な検査を回避する利点を認めたため若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.31.3_177_2