私の歩行研究
リハビリテーション医学の中で, 歩行分析は最も重要な分野の一つであることは論を俟たない. ヒトの直立二足歩行は, locomotionのうちで最も特殊な進歩した運動であり, そのメカニズムは極めて複雑である. 古くから種々な分析方法が用いられてきたが, 一つのパラメーターだけを用いても, 群盲象をなでるのたとえのように, 十分な理解は得られない. 私は約35年前から現在まで, 歩行の研究を続けてきた. 種々のパラメーターを用い, これらを組合わせて, 十分な理解を得たいと心がけてきた. 一方臨床的には, できるだけ簡単な, 患者に負担を与えない方法が理想的である. これらの中にあって, 経済的...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 24; no. 1; pp. 2 - 6 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本リハビリテーション医学会
01.01.1987
日本リハビリテーション医学会 |
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ISSN | 0034-351X 1880-778X |
DOI | 10.2490/jjrm1963.24.2 |
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Summary: | リハビリテーション医学の中で, 歩行分析は最も重要な分野の一つであることは論を俟たない. ヒトの直立二足歩行は, locomotionのうちで最も特殊な進歩した運動であり, そのメカニズムは極めて複雑である. 古くから種々な分析方法が用いられてきたが, 一つのパラメーターだけを用いても, 群盲象をなでるのたとえのように, 十分な理解は得られない. 私は約35年前から現在まで, 歩行の研究を続けてきた. 種々のパラメーターを用い, これらを組合わせて, 十分な理解を得たいと心がけてきた. 一方臨床的には, できるだけ簡単な, 患者に負担を与えない方法が理想的である. これらの中にあって, 経済的制約を受けながらも, 長い間同じ目標に向かって研究を続けてこられたのは, 多くの優れた人々の献身的な援助があったためである. 以下に私の今までのささやかな歩みの跡をふりかえり, 方法論の進歩, 現在の長崎大学方式, いくつかのトピックスを述べてみたい. 歩行研究の個人史 1950年頃から, 私は時実, 津山の指導を受けて筋電図の研究を開始した. 当時多発したポリオの筋電図学的研究と共に, 動作学に取り組み, 起立, 歩行の筋電図学的研究を行った1). 当時はアンプも, 電極も, foot switchも手製で, 横河式電磁オシロで, 紙フィルムに記録した. 同心型針電極を用い, foot switchに合わせて, 各筋の筋電図を1枚の紙にプロットした. |
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ISSN: | 0034-351X 1880-778X |
DOI: | 10.2490/jjrm1963.24.2 |