21.気胸を契機に発見された,孤立性右肺動脈欠損症の1例(第131回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)

症例は30代男性. 右胸痛を主訴に受診. 3年前に右気胸の既往があるほかは, これまで労作時呼吸困難や血痰の自覚はなかった. 受診時の胸部X線写真にて右気胸を認めたほか, 右胸郭の縮小が明らかであったため胸部CTを撮影したところ右肺動脈欠損症が疑われた. 保存的(安静)な気胸の治療後に, 精査を行った. 造影CTでは右肺動脈は起始部より描出されず, 右気管支動脈, 一部の右肋間動脈, 右下横隔膜動脈の拡張が見られ, 右肺への側副血行となっていると考えられた. 気管支鏡検査では, 気管支内腔に粘膜の発赤や血管増生などの異常所見はなく, 左右の気管支で粘膜所見に差はなかった. 心臓カテーテル検査で...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 1; pp. 95 - 96
Main Authors 末吉, 浩一郎, 押切, 貴博, 長谷川, 市郎, 成松, 芳明, 小熊, 剛, 辻村, 周子, 神山, 育男, 塚田, 紀理, 澤藤, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.1_95_5

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Summary:症例は30代男性. 右胸痛を主訴に受診. 3年前に右気胸の既往があるほかは, これまで労作時呼吸困難や血痰の自覚はなかった. 受診時の胸部X線写真にて右気胸を認めたほか, 右胸郭の縮小が明らかであったため胸部CTを撮影したところ右肺動脈欠損症が疑われた. 保存的(安静)な気胸の治療後に, 精査を行った. 造影CTでは右肺動脈は起始部より描出されず, 右気管支動脈, 一部の右肋間動脈, 右下横隔膜動脈の拡張が見られ, 右肺への側副血行となっていると考えられた. 気管支鏡検査では, 気管支内腔に粘膜の発赤や血管増生などの異常所見はなく, 左右の気管支で粘膜所見に差はなかった. 心臓カテーテル検査では, 造影上, 他の心血管奇形を認めず, 平均肺動脈圧は21mmHgであった. 以上の結果より, 孤立性右肺動脈欠損症と診断した. 稀な疾患と思われたので報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.1_95_5